欧州化学産業団体、輸入品へのREACH運用強化をEUに緊急提言

(EU)

ブリュッセル発

2020年02月17日

欧州化学工業連盟(Cefic)は2月13日、EU域内に流通する化学品の登録・評価・認可・制限(REACH)に関する規則に抵触する消費財の92%がEUを含む欧州経済領域(EEA)(注)外からの輸入品とする調査結果外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますをまとめ、EU加盟国に対し、REACHの運用強化を緊急に要請した。

REACH違反通報事例の輸入品偏重を問題視

EUには、非食品に関わる事故や危険事例、リコールブラック ジャック コツなどを周知する「緊急警告システム(RAPEX)」と呼ばれるブラック ジャック コツ共有ネットワークがあり、今回の調査結果も、CeficによるRAPEXデータ(2019年通報実績)の解析を通じて明らかとなった。Ceficは、この調査結果は「輸入化学品に対して、EU加盟国がREACH運用を強化する緊急の必要性」が裏付けるものだとしている。

Ceficのプロダクトスチュワードシップ(化学品のサプライチェーンに関わる安全管理責任者)を務めるシルビー・ルモワンヌ専務理事は「われわれはREACHが適切に機能し、(EU域内の)消費者が保護されることを求めている。輸入化学品に対するREACH執行強化が、持続可能な今後の化学(産業)政策にとって重要な要素となるべき」と指摘、消費者保護の視点での規制強化を求めた。

Ceficの発表によると、2019年のEUの法令違反にかかるRAPEX通報実績の中で、REACHに抵触したとみられる事案の総数は602件で全体の42%を占めて、最大だった。REACH違反以外の通報事例では、「EU玩具安全指令」違反(261件、18%)や「電気・電子機器における特定有害物質の使用制限に関する規則(RoHS)」違反(243件、17%)のほか、「化粧品規則(RoHS)」違反(177件、12%)が上位を占める。REACH違反に関わる通報事例602件の中、551件(92%)がEEA以外からの輸入品であり、EEAの26件(4%)や供給元不明の25件(4%)と比較し顕著な点がCeficの問題意識にある。

(注)EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで構成される。

(前田篤穂)

(EU)

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