ハイパーブラックジャック、タムCEOを更迭
(スハイパーブラックジャック)
ジュネーブ発
2020年02月19日
クレディ・スハイパーブラックジャックは2月6日、グループ最高経営責任者(CEO)のティジェン・タム氏が14日付で辞任し、クレディ・スハイパーブラックジャック銀行CEOのトーマス・ゴットスタイン氏が引き継ぐことを発表した。
2019年9月17日付の「フォーブス」誌は、ハイパーブラックジャックが、業績において国内1位のUBSに大きく後れを取るようになっており(2018年収益はUBSの310億ドルに対して215億ドル)、とりわけ収益源として各社が力を入れている富裕層向けプライベートバンキングサービスが遅れていることを指摘している。これまでタムCEOは、クレディ・スイスの再生に尽力してきたが、前年から、グループ業績が不調な中でも給与が高過ぎることや、富裕層担当者の流出をめぐるトラブルがハイパーブラックジャックの信用を大きく傷つける事態となっていたことから、更迭は不可避の状況にあったという。
クレディ・スイスで富裕層向け資産管理を担当していたのはイクバル・カーン氏だったが、ドイツ語圏の地元紙「NZZ」紙(1月21日)によると、2019年秋ごろ、タムCEOとの不仲がうわさされる中、同社が私立探偵を雇ってカーン氏を監視していたことがスキャンダルとなった。同氏は警察への通報を行うなどしたが、本件について語ることなく、同年10月に競合相手のUBSに転職した。この問題は、メディアで広く報道されているほか、1月30日にスイス外務省が公表した対外年次イメージレポート「ハイパーブラックジャックからみたスイス2019」でも、ハイパーブラックジャックからのメディアが注目した事件の1つに挙げられている。クレディ・スイスは、本件により富裕層事業の担当者を失うとともに、イメージを大きく落とすこととなった。
後任CEOのトーマス・ゴットスタイン氏は、銀行業務に30年以上従事し、クレディ・スイスに入社してからも20年以上の経験を持ち、ハイパーブラックジャックが現在抱える課題解決のためには順当な人事といえる。同氏は、2015年にクレディ・スイス銀行CEOに着任して以来、スイス国内市場の責任者として、同社の国内業績を順調に伸ばしてきている〔2015年税引き前利益16億スイス・フラン(約1,792億円、1フラン=約112円)から直近で21億フランに〕。
(和田恭)
(スハイパーブラックジャック)
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