新型コロナウイルス感染拡大に伴いイタリアが対策会議を開催
(イタリア)
ミラノ発
2020年02月27日
新型コロナウイルスの急激な感染拡大を受け、企業活動への経済的な影響に対する措置を講ずるため、イタリアのステファノ・パトゥアネッリ経済開発相は2月25日に会合を開いた。同会合には、経済財務省や感染拡大が著しいロンバルディア州およびベネト州、経団連(コンフィンドゥストリア)、イタリア商業連盟(コンフコンメルチョ)などの主要な経済団体も列席し、意見が交わされた。
パトゥアネッリ経済開発相は、特に影響を大きく受けている地域の生産ネットワークを維持するため、現在政府内で検討している支援案を提示した。その中には、「既に経済開発省が中小企業向けに実施している『保証ファンド』をより迅速に利用できるようにすること」「電気・ガス代など、一部サービスに対する支払い延期の認可」「衛生用品の価格の注意深いモニタリング」「直接的な打撃を受けた企業に対する補助金、および間接的被害を受けた企業に対する支援の提供」などが含まれる。また、特に影響が大きいと想定される小売り、交通、観光、物流などの産業に対する支援策を検討中としている。
パトゥアネッリ経済開発相は議論を踏まえ、この会合は、新型コロナウイルスがもたらす危機的状況における、経済面へのインパクトを初めて包括的に評価する建設的な検証の場となったとし、引き続き有効な手段を検証し、リソースの有効な配分を検討していく意向を示した。
新型コロナウイルスの感染拡大は、ビジネス面でも実質的な影響を及ぼし始めている。4月に開催予定だった、家具の世界的な見本市「サローネ・デル・モービレ・ミラノ(通称:ミラノサローネ)」が6月に延期されることが決定した。地元紙「コッリエーレ・デッラ・セーラ」紙(2月25日)は、同展示会を延期でなく中止としていたら、1億2,000万ユーロの損失が生まれていただろうとの見方を報じている。
イタリア商業連盟のカルロ・サンガッリ会長は「感染拡大による危機的状況が4~5月まで続けば、2020年のGDP損失は50億~70億ユーロに上り、2020年の前半の段階で景気後退に入る可能性が高い」との見解を示し、「ビジネスがまひ状態に陥る前に、迅速に行動する必要がある」「われわれイタリア人はこれまで幾多の試練を経験してきた。今回の危機も乗り切れることだろう」と述べている。
(山崎杏奈)
(イタリア)
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