EUがカンボジアへの特恵関税制度を一部撤廃に、政府・業界は反発
(カンボジア、EU)
プノンペン発
2020年02月20日
欧州委員会は2月12日、カンボジアからEUに輸入される品目に適用されている特恵関税制度「武器以外の全て(EBA)」のうち、一部の品目で適用を取り消すと発表した。今後、欧州議会とEU理事会が否決しない限り、8月12日から適用される(関連ブラック ジャック web)。適用後は対象品目に対し、1.7~12%の輸入関税が課される。適用が取り消される品目は、衣類、履物の一部と旅行用品、砂糖だ(注)。これらのカンボジアからの輸入額は約10億ユーロで、カンボジアからの全輸入額の5分の1に相当する。
ジョセップ・ボレル安全保障政策上級代表兼欧州委員会副委員長は、本決定の理由を「カンボジアの参政権や表現と結社の自由の侵害の期間、規模、影響」に鑑みたとした上で、「EBAの復活のために、当局は必要な措置をとる必要がある」と述べた。また、フィル・ホーガン欧州委員(通商担当)は「人権の尊重に対して、われわれは交渉が不可能だった。カンボジアの発展は認識しているが、深刻な懸念が残る。われわれの目的は当局の人権侵害を終わらせることで、そのためにわれわれは当局と協力していく」とした。
これに対し、カンボジア外務省は同日、本決定は政治的で客観性と公平性に欠け、不当だとする声明を発表した。また、カンボジア縫製業協会(GMAC)は2月17日、本決定に失望しているとのコメントを発表した。GMACによると、主にEBAの恩恵を受けている品目は衣類と旅行用品で、これらはカンボジアの商用輸出の75%を占め、うち90%がEU向けに輸出されているという。GMACは「EBAの恩恵を受けている業種の従業員は75万人を超え、この国の20%以上の家庭を養っている」とし、本決定の影響力の大きさを強調した上で、EUに迅速な見直しを求めている。
(注)対象品目は2020年2月12日付欧州委員会委任規則を参照。
(脇坂敬久)
(カンボジア、EU)
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