スウェーデン経済界、サプライチェーンへの影響を懸念

(スウェーデン)

ロンドン発

2020年02月03日

スウェーデン外務省は1月30日、新型コロナウイルスに対する同省の取り組みとして、中国当局や北欧諸国とEU諸国、現地の関連組織と緊密に連絡を取り合っていると発表し、その後、週末(2月1、2日)にかけて、北欧などEUのほかの加盟国と共同で、中国湖北省からスウェーデン国民の輸送を実施したと発表内容を更新した。スウェーデン国内の薬局では、マスクが売り切れとなっており(「ミットイ」紙1月29日)、1月31日には公衆衛生局がスウェーデンで最初の感染者を報告した(「アフトンブラーデット」紙)。患者は武漢地域を訪れたスウェーデン南部のヨンショーピング在住の女性。症状は重篤ではないとしている。

企業の対応としては、家具大手イケアが1月30日、中国本土の店舗を無期限で閉鎖すると発表したことが報じられているほか、スカンジナビア航空(SAS)も1月30日、中国本土への全ての直行便(北京と上海)の運航を1月31日~2月9日の間、停止すると発表した。

スウェーデンに生産拠点を置く大手企業からも懸念の声が出ている。武漢に従業員400人が働く工場を持つ、通信機器大手エリクソンのボリイェ・エークホルム最高経営責任者(CEO)は「SVD」紙(1月24日付)で、まだ感染者は出ていないとしながらも、その影響の大きさから、「感染の広がりを軽視すべきではない」と警鐘を鳴らした。家電大手エレクトロラックスのヨナス・サミュエルソンCEOは1月31日、「VT」紙に対し、現在、旧正月の休暇による工場の稼働停止が続いているが、その後も工場閉鎖を継続せざるを得ない場合、収益に打撃となるだろうと語った。同社は杭州市の工場に800人の従業員を抱えているが、自社以外にも中国の下請け企業に多くの部品の供給を依存している。それが稼働しなくなれば、サプライチェーン全体への損失は大きく、それは同業他社も同様だろうとしている。

(篠崎美佐、岩井晴美)

(スウェーデン)

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