EU、新型コロナウイルス対策で中国支援を表明

欧州委員会のヤネス・レナルチッチ委員（危機管理担当）は2月1日、中国・湖北省武漢市などで感染事例が報告されている新型コロナウイルスへの対策のため、中国を支援する方針を明らかにした。欧州委によれば、緊急措置として、EU加盟国が既に12トン相当の防護関連物資の中国向け搬送を開始しているという。中国の医療現場で医療用防護服やマスクの不足が深刻化している問題については、在中国EU商工会議所に相当する中国EU商会が1月28日に不足物資リストを公開し、中国国外の調達先の紹介などの緊急支援要請（在中国EU商会、ブラック ジャック）していた。

欧州でも新型コロナウイルスの感染拡大続く

欧州委のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は、中国の李克強首相に対して、EUとして新型コロナウイルスの拡大抑止のため、支援の用意があることを事前に伝えていた。EUとしては、その後の中国などにおける事態深刻化を踏まえて、欧州委の市民保護・人道支援総局（DG ECHO）に属する緊急対応調整センター（ERCC）を通じて、加盟国に不足物資の中国への搬送を進めるように打診している。

他方、公衆衛生などにかかわるEU専門機関の欧州疾病予防管理センター（ECDC）は2月2日付で、EUを含む欧州経済領域（EEA）（注）の医療機関や医療従事者に対して、「新型コロナウイルスの感染予防および罹患者処置のための管理に関わる技術報告書（ガイダンス）」を公表。欧州での2次感染抑止に向けた対策を進めている。

なお、ERCCが1月31日付で公開した「新型コロナウイルスの感染状況マップ」によると、欧州での感染者数は以下のとおり。

• フランス：6人
• ドイツ：5人
• 英国：2人
• イタリア：2人
• フィンランド：1人

依然として感染事例が増加傾向にあり、その猛威は収まる気配がない。

（注）EU加盟国とノルウェー、アイスランド、リヒテンシュタインで構成される。

（前田篤穂）