新型コロナウイルス対策で中国との旅客交通を運休しビザ発給一時停止

(カザフスタン)

タシケント発

2020年02月03日

中国発の新型コロナウイルスの拡散は、カザフスタンでも大きく取り上げられており、中国からの労働者やビジネスパーソン、観光客が多く訪れる大都市や、中国人労働者が働く地域の住民から不安の声が上がっている。1月31日現在、国内外での感染者はまだ報告されていないが、政府は、現在中国に滞在しているカザフスタン国民の早期帰国と中国への自主渡航規制を勧告するとともに、新型コロナウイルスの国内流入防止策を次々に打ち出した。

アスカル・マミン首相は1月26日、トカエフ大統領の指示を受け、緊急の閣僚会議を開催、新型コロナウイルスの国内拡散防止策を検討するとともに、中国人への各種ビザ発給の停止および、2019年から導入されていた72時間のビザなし滞在許可を2020年7月1日まで停止した(表参照)。1月29日にはベルディベック・サパルバエフ副首相を議長とする部門間会議を開催し、カザフスタンと中国を結ぶ陸路、空路の旅客交通を順次運休(1月29日から国際バス路線、2月1日から国際列車、2月3日から定期航空便)することを決めた。

スポーツイベントも見送られることになった。新型コロナウイルスの拡大で、テニスのフェデレーションカップ予選(2月4~8日)、アジア水球選手権予選(2月12~16日)の開催が中止された。

また、ヌルスルタンやアルマトイなど大都市では、医療マスクや消毒液が品薄になっており、政府は、パニックによる買い占めなどで在庫が枯渇するのを避けるため、政府準備金から15億テンゲ(約4億3,500万円、1テンゲ=約0.29円)を拠出し、医療や感染予防に必要な物資を確保することを決定している。

表 カザフスタン政府の新型コロナウイルス対策

(増島繁延)

(カザフスタン)

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