EU、イタリアでの新型コロナウイルス感染拡大で、非常事態計画見直し

(EU、イタリア)

ブリュッセル発

2020年02月25日

欧州委員会のステラ・キリヤキデス委員(保健衛生担当)は2月24日、イタリアでの新型コロナウイルスの感染拡大に関連し、公衆衛生などに関わるEUの専門機関・欧州疾病予防管理センター(ECDC)にリスク分析・対策検討を要請した。ECDCはまた、EU加盟国でのさらなる感染拡大に備えて非常事態計画の見直しを始めた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますイタリア保健省の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(現地時間2月24日午後6時時点)によると、イタリアでの感染事例は229件(死亡事例:6件)と急拡大している()。この状況を受けて欧州域内でも、ルーマニア政府がイタリアで特に感染者の多いベネト州およびロンバルディア州ロディ県からの入国者または過去14日間に同地域を旅行した者への検疫を行うと発表するなど、警戒感が広がっている。

新型コロナウイルス感染拡大阻止へ2億3,200万ユーロ拠出

欧州委は、中国での新型コロナウイルスの感染拡大以降、EU加盟国の保健衛生当局と医療従事者が臨床事例に適切に対応するためのトランプ ゲーム ブラック ジャック・ガイダンスを周知、感染経路の適切な解析、関係研究機関の対応力強化など、非常事態計画に関わるさまざまなレベルの態勢整備に努めてきたとしている。

また、欧州委は同日、世界レベルの感染拡大阻止のためには国際連携が不可欠との認識に立ち、国際支援のために2億3,200万ユーロを拠出する考えを示した。具体的には、新型コロナウイルスに関わる「検査と診断」「感染者の処置」「さらなる感染拡大予防」などの国際支援に資金を活用するとしている。具体的な支援パッケージの内訳は次のとおり。

  • 1億1,400万ユーロ:世界保健機関(WHO)支援。特に保健医療システムの脆弱(ぜいじゃく)な国々における公衆衛生緊急対策支援のために拠出。
  • 1億ユーロ:緊急性の高い「診断・治療技術」「予防法」の研究支援のために拠出。このうち9,000万ユーロはEUと医薬品産業との連携による医薬品共同開発プログラム「革新的医薬品イニシアティブ(IMI)」の枠組み(関連ブラック ジャック ルール)を通じた支援に活用。
  • 1,500万ユーロ:セネガルのダカール・パスツール研究所を含めて、アフリカへの支援に充当。特に「迅速な診断技術」「疫学的監視(感染症の発生状況の調査)」などに活用。
  • 300万ユーロ:中国からのEU市民の帰還支援(フライト手配)()のための「EU市民保護メカニズム」への資金割り当て。

なお、イタリアを除く欧州での発生件数は、ECDCが2月24日付で更新した新型コロナウイルスに関わる世界の状況外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、ドイツ(16件)、英国(13件)、フランス(12件、死亡事例:1件)、スペイン(2件)、ロシア(2件)、ベルギー(1件)、フィンランド(1件)、スウェーデン(1件)となっている。キリヤキデス欧州委員はイタリアでの急速な感染拡大を念頭に、「事態は急激に変化することがあると確認された」とコメントしている。

(前田篤穂)

(EU、イタリア)

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