新型コロナウイルスによる肺炎、7割超の企業が駐在員を帰国させるなどの対応

(中国)

広州発

2020年02月10日

ジェトロは2月3~7日に、広東省、福建省、広西チワン族自治区、海南省の日本商工会、在広州日本総領事館の協力を得て、4省・自治区の在華南地域進出日系企業92社に、新型コロナウイルスによる肺炎への対応状況を確認することができた。

駐在員、家族ともに帰国が多数

駐在員の安全確保・対策状況について、「操業再開まで全員一時帰国」が39%、「一部は一時帰国中」が33%と、1月下旬からの春節休暇の影響もあってか7割超の企業が駐在員を帰国させていることが分かった(図1参照)。

図1 駐在員の安全確保・対策状況

また、駐在員の帯同家族については「全員一時帰国」が41%、「一部一時帰国」が11%、「帯同なし」が48%と、多くが日本に帰国している(図2参照)。

図2 駐在員帯同家族の安全確保・対策状況

日本からの出張自粛については、97%が「自粛あり」で、大多数が湖北省のみならず中国全土への出張を自粛している(図3参照)。

図3 日本からの出張自粛の有無

従業員の感染予防の具体的対応としては、マスクの支給や、消毒液の設置、建物の消毒、体温チェック、隔離・観察部屋の設置、湖北省に立ち寄った・帰省した従業員に14日間の自宅待機を義務付ける、フレックスタイム制の採用や出社・在宅勤務をローテーションで行うなどが挙げられた。

グローバルサプライチェーンへの影響を懸念

ビジネスへの影響については、国内需要の減少による売り上げ減少、物流網に問題が発生することによる生産・輸出入への障害、日本でのインバウンド需要の減少などが挙げられている。売り上げについては、「最大で半減する可能性がある」と大きな影響を指摘する声も聞かれた。また、「東南アジア工場への中国からの部品供給も遅れることが想定される」とし、日中間だけでなく、グローバルサプライチェーンへの影響を懸念する声もあった。

今後の課題としては、物流の混乱や再稼働後の人員確保など直接的に操業に関わるものに加え、従業員の感染防止や感染時の対応、マスクの調達難といった、防疫に関する懸案も挙げられている。

それに加えて、「中国一極生産によるリスクへの懸念再燃」「感染が広がった場合の撤退プランの未策定による不安」など、グローバルな生産拠点の組み替えも視野に入れた懸念も聞かれた。

中国政府への要望として、減税措置やブラック ジャック 必勝 法からの救援物資の輸入規制緩和などが挙げられている。日本政府への要望としては、マスクや消毒液の調達支援、日本向けのフライトが欠航となった場合のチャーター便手配などが寄せられた。

(河野円洋)

(中国)

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