トランプ米大統領の一般教書演説、3年間の成果をアピール

(米国)

ニューヨーク発

2020年02月06日

トランプ大統領は2月4日、米国議会の下院本会議場で一般教書演説を行い外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、就任後の経済成長や雇用回復の実績を示すとともに、医療保険などで民主党に対抗する主張を展開した。マイノリティーの有権者を招待するなど、11月の大統領選への配慮が目立つ内容となった。

通商交渉をはじめ公約実現をアピール

大統領は演説の冒頭で「3年前、私は偉大な米国を取り戻すと掲げた」と述べ、就任後の規制緩和や税制改革、公平な貿易協定のために闘った結果として、700万人の雇用創出やさまざまな人種(黒人やヒスパニック)や属性(低学歴や退役軍人)での50年ぶりとなる最低水準の失業率、高水準の株価など好調な経済指標に言及した。また、低所得者層の賃金上昇率が16%になったことを引き合いに、「ブルーカラーの活況」と強調した。

通商面では、「不公正な貿易は、私が大統領に立候補した最大の理由」と前置きし、北米自由貿易協定(NAFTA)によって製造業の雇用は25%も失われたが、米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)によって自動車分野で10万人近い高賃金の雇用を創出し、農家や労働者の輸出を拡大できると訴えた。中国に関しては、関税で対抗する戦略が奏功し、これまでの状況を一変させる貿易協定を締結できたとアピールした。

選挙に向けて、教育や医療保険など国内政策に重点

大統領は次のステップとして教育分野を挙げ、奨学金が受けられず公立学校を卒業できない学生のため、議会に必要な法案や予算を工面するよう求めた。医療保険では、ヘルスケア改革よりも大統領令外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで指示した薬価の透明性確保が重要とし、処方薬の価格引き下げに向けた超党派の協力を呼び掛けた。そのほか、インフラ再建の必要性にも触れ、ジョン・バラッソ上院議員(共和党、ワイオミング州)の輸送インフラ法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを可決するよう議会に求めるとともに、地方を含む高速インターネットの普及に取り組むと表明した。

トランプ大統領は演説にペンシルベニア州の黒人の親子やオハイオ州の退役軍人を招待するなどし、11月の大統領選を見据え、激戦州のマイノリティー層に配慮する発言や演出が目立った。また、「社会主義」に対抗する発言を複数回行い、民主党の大統領選候補を目指しているバーニー・サンダース上院議員(民主党、バーモント州)を意識する場面もみられた。

(藪恭兵)

(米国)

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