新型コロナウイルス感染拡大を受け、自動車部品の供給安定化対策を発表

(韓国)

ソウル発

2020年02月14日

韓国の自動車産業は、ワイヤハーネス(電線)や操向装置(ハンドル)、エアバッグなど、労働集約的な自動車部品を中国に依存(自動車部品輸入の29.2%、2019年輸入額は15億6,000万ドル)していることから、新型コロナウイルス感染の拡大に伴う中国自動車部品企業の生産停止により、現代・起亜自動車や双竜自動車などの完成車企業の生産が減少する状況に追い込まれている。

こうした状況を受けて、韓国政府(産業通商資源部や外交部など)は2月7日、自動車部品の供給安定化対策を発表し、中国内の韓国部品企業の早期再稼働について中国政府に協力を要請するとともに、韓国系部品企業が集中する山東省や上海市などの地方政府に対しても、韓国系自動車・自動車部品企業の再稼働に係る協議を行っていることを明らかにした。

また、1月31日に「部品企業の新型コロナウイルス(CV)対応支援センター」を開設し、(1)中国内陸での運送を支援するための物流支援、(2)中国で生産した部品を輸入する際の24時間通関の実施、(3)部品企業が韓国内で代替生産するための設備投資資金の支援、(4)生産減と売上高の急減で危機に直面している企業への経営安定資金の支援、(5)中国の部品の代替に対応するため国内生産が急増した場合の特別延長労働(週52時間以上の延長を特別に緩和)(2019年12月27日記事参照)の許可、(6)ベトナム、カンボジア、フィリピンなど中国以外の第三国で代替生産した部品に対する迅速な通関支援を打ち出した。

これら政府の支援策に現代自動車も応え、新型コロナウイルス感染の拡散により経営困難に陥っている中小の部品協力会社に対して、経営資金3,080億ウォン(約308億円、1ウォン=約0.1円)を無利子で支援するとともに、納品代金5,870億ウォンと部品量産投資費1,050億ウォンの早期支給、中国内の協力会社の防疫支援(作業場の消毒、熱画像カメラの設置、体温計や洗浄剤)、中国政府との協議支援などを通じて、中国内の部品メーカーの生産再稼働を支援することを発表した。

〔末永敏、申守智(シン・スジ)〕

(韓国)

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