アパレルブランド45R、日EU・EPA活用による新規顧客開拓に意気込み
(フランス、日本)
パリ発
2020年02月26日
藍など日本特有の自然派原料や素材にこだわり、100年先も受け継がれる服づくりに取り組むアパレルメーカーのフォーティーファイブアールピーエム・アール・フランス(45RPM. R FRANCE、本社:東京都港区)は、高級ブランド店が軒を連ねるパリ・サントノーレ通りへの2003年の出店を皮切りに、パリ市内に現在3店舗を展開。2018年にはロンドンにも出店するなど、欧州市場で着実に「45R」ブランドの認知度を高めている。ジェトロは2月3日、パリ3店舗を統括する平野務ディレクターに、日EU経済連携協定(EPA)の活用状況について聞いた。
同社では、日本の本社から商品を輸出し、フランスの子会社(フォーティーファイブアールピーエム・アール・フランス)が輸入する企業グループ内での貿易を行っている。同社の2015年のシンガポール出店時には、2002年に日シンガポールEPAが発効済みだったため、当初から特恵関税の恩恵を享受できた。一方、日EU・EPAは2019年2月の発効時点ではその活用に係るブラック ジャック 無料 ゲームや意識が乏しかったという。同EPA発効目前の同年1月、平野氏が日本の本社に関税削減効果の重要性を説き、2月以降の出荷で対応できる製品から順に、関税撤廃の恩恵を受けているという。
EPA発効前、フランス子会社が輸入するアパレル製品には11~12%の関税が賦課されていたが、発効時に即時撤廃された。EPA活用により、2月までの1年間でフランス子会社全体の仕入れ額が約6%減少し、経費削減につながった。現在EPAを適用できていない商品へも適用してさらに約5~6%の経費削減を達成するには、糸や生地、付属品まで全てにおける調達の見直しや、長期的な生産側の調整も必要となる。関税削減によるコスト低減は大きいため、日本本社に上述の見直しや調整についての働き掛けを続けているという。
なお、原産地証明は日本本社の輸出窓口担当がフォワーダーと連携して整えた「原産地に関する申告文」に基づき、輸入者であるフランス子会社がフランス税関に申告しているという。繊維製品は加工工程の数や高度な技術を基に原産地規則が定められており、僅少の非原産材料を無視できるというデミニマスルール(注)などの救済規定もあるなど複雑だ。日本の原産品として申告できるかは、フォワーダーと連携しつつ的確な書類を整えられるかがカギとなる。同社ではこれまでのところ、特恵関税の適用を申請した全ての貨物が、フランス税関でのトラブルなく通関できているという。
パリでは、2018年11月下旬から半年以上続いた「黄色いベスト運動」や、2019年12月5日から1月下旬までの公共交通機関のストライキなどにより、消費者が来店する機会が減った。2月以降も年金制度改革に反対する新たなストへの動員を労働組合が呼び掛けるなど、小売店には厳しい状況が続いている。しかし、同社では長年の出店で認知度が高まっていることに加え、各界の著名人に愛され、根強いファンを魅了できており、売れ行きは順調だ。今後、特恵関税の対象商品を広げ、その恩恵を店頭販売価格を少しずつ下げて還元することで、新規顧客を獲得していきたいと意気込む。
(注)繊維および繊維製品のデミニマスルールについては、「日EU・EPA解説書(0.0B)」4-3-2を参照。
(梅村明歌音)
(フランス、日本)
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