日系メーカーは新型コロナウイルスによる中国部材供給の寸断を懸念、長期化を警戒

(パキスタン)

カラチ発

2020年02月17日

パキスタンでは2月13日現在、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染例は確認されておらず、国家健康サービス規制調整省は国内に感染がないことを公式に確認している。一方で、政府は警戒を強めており、ウェブサイトで、感染した場合の症状や予防法をウルドゥ語と英語で掲載し、疑わしい症状が出たら近隣の病院へ行くよう呼び掛けている。また、国立保健研究所によると、パキスタンに到着した中国便の乗客全員が検査キットで検査を受けているという。

ジェトロが在カラチの日系メーカーにインタビューしたところ、感染対策として、「手洗いの励行とマスクの着用を呼び掛けている」(A社)、「中国人が多く集まる中華料理店には行かないよう社内で申し合わせている」(B社)、「中国からの来客は緊急性が高くかつ医師の証明書がある場合にのみ受け入れる」(C社)などの回答があった。一方で、「特に対策は取っていない」という声も多く聞かれた。

操業への影響については、「現在は全くない」という回答が多かったが、「部品の3割を中国から輸入している。2月24日に中国の工場が再開する予定だが、事態が長期化すると影響が大きい」(D社)と、長期化を懸念する企業もあった。中国からの部品輸入が途絶えることへの懸念は他社からも聞かれた。

ある企業は「中国工場では再開の条件として、マスクを何人分、消毒液を何日分と政府から備蓄量の指示が出て必死にかき集めている。パキスタンから少量ながらマスクを送ろうとしたところ、税関で止められた。そういった通達が出ているようだ」と話していた。同様の発言は他社からもあり、パキスタン政府は万が一に備えて、マスクの輸出を止める措置を取っているとみられる。

(山口和紀)

(パキスタン)

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