新型コロナウイルスによる中国貨物船寄港禁止措置を発動せず、乗組員は入国制限
(フィリピン)
マニラ発
2020年02月07日
フィリピン港湾公社(PPA)は2月4日、中国の貨物船のフィリピンへの寄港禁止措置はしばらく発動しないと発表した。ただし、フィリピン寄港日の14日以内に中国を出発した船舶の乗組員は、フィリピン入国を禁止するとした。乗組員の入国制限は、中国籍の船舶に限らず、あらゆる国籍の船舶のうち14日以内に中国の港に寄港したものも含まれる。
PPAの今回の決定は、中国・武漢市を感染源とする新型コロナウイルスの感染拡大の状況を考慮したものだ。ただし、フィリピンにとって最大の輸入相手国である中国からの船舶寄港禁止措置を発動した場合、フィリピン経済に与える影響が極めて大きいとし、そのような措置は発動しないとの意向を示した。フィリピン統計庁(PSA)によると、中国からの2019年1~11月の輸入額は225億5,569万ドル(前年同期比12.3%増)と国別で首位、輸出額は87億9,318万ドル(6.2%増)で3位だ。
フィリピン経済特区庁(PEZA)をはじめとした経済特区に入居し、中国から原材料を輸入して製品を製造の上、市場である中国に向けて輸出するという日系企業も多く存在するため、貨物船の寄港禁止措置をしばらく発動しないという今回の発表に安堵(あんど)する日系企業は多いとみられる。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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