新型コロナウイルスでフランス初の死者、感染者数は12人に
(フランス)
パリ発
2020年02月19日
アニエス・ビュザン連帯・保健相(注)は2月15日、フランス国内で初めて新型コロナウイルス感染による死亡が確認されたと発表した。死亡したのは80歳の中国人男性で、観光客としてフランスに1月16日に入国、1月25日からパリ市内の病院に入院し治療を受けていたが、状態が急激に悪化し、死亡した。この男性の娘も感染し、パリ市内の同じ病院で治療を受けているが、順調に回復しているという。
2月15日時点で、フランス国内で確認された感染者数は合わせて12人。うち4人は治癒して退院しており、死亡した中国人観光客を除く、残る7人は現在も入院中だ。このうち6人はサボワ地方にスキー旅行に来ていた英国人グループで同じ別荘に滞在し、感染が確認されていた。いずれも快方に向かっているという。
フランス国内におけるコロナウイルス感染状況はフランス公衆衛生局のウェブサイトに随時掲載されている。
フランスのニュース専門局BMFTVによると、中国・武漢からチャーター機で1月31日に帰国した181人は14日間の検疫期間を終え、2月14日から帰宅した。これら帰国者に感染は確認されなかった。また、2月2日の第2便で帰国したグループも検疫期間を終え、2月16日に帰宅した。2月9日に第3便で帰国したグループも、何もなければ2月23日に検疫期間を終了し、帰宅する予定だ。
政府は、2月1日からコロナウイルス感染に関わる専用の電話相談窓口を設けて対応しているが、今のところ、一般市民の間に感染への脅威が急激に高まっている様子はみられないという。もともとマスクを着用する習慣がないこともあるが、街中でマスクを着用した人は見当たらない。ただ、感染を恐れてか、パリ市の中華街や中華料理レストランへの客足は遠のいている、と報道されている。
公式なデータは出ていないが、新型コロナウイルス感染の拡大によって、中国人観光客が急減しているもよう。フランスを訪れる中国人観光客の数は年間220万人(2018年、経済・財政省発表)。宿泊、外食産業を中心に影響を懸念する声が出始めている。
(注)ビュザン連帯・保健相は2月16日、与党・共和国前進のパリ市議会選挙公認候補だったグリボー氏が性的動画流出事件を理由に辞任したことを受け、グリボー氏に代わる同党の公認候補に指名された。ビュザン連帯・保健相は3月15日に行われるパリ市議会選挙に専念するため、連帯・保健相の職を2月16日に辞任。後任にオリビエ・ベラン国民議会議員(共和国前進)が任命された。
(山崎あき)
(フランス)
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