大麻スタートアップの米ゴールデンシード、株式をオンラインで一般公開

(米国)

サンフランシスコ発

2020年01月24日

大麻栽培・加工スタートアップのゴールデンシード(Goldenseed、2017年設立、本社:米国カリフォルニア州サンタクルズ)は1月6日、オンラインでの一般向け株式公開を発表した。公開額は計1,000万ドルで、100ドルから投資できる(1株10ドル)。同社は、2015年に米証券取引委員会(SEC)が改定した「A規制」(注1)に基づいて、2019年10月に未上場のまま株式公開を行う申請手続きを行っていた。新規株式公開(IPO)をする前に、SECから一般市民に株式公開することを認められたのは、米国の大麻栽培・加工企業としては同社が初めてとなる。

ゴールデンシードのスコット・ゴールディー最高経営責任者(CEO)は、同社がアーリーステージにおける資金調達の手段として、ベンチャーキャピタル(VC)などから出資を受ける従来の方法ではなく、一般市民への株式公開という手段をとった理由について、「アーリーステージの企業に滅多に投資する機会のない『平凡な一般人』に力を与える」ためと説明し、「ゴールデンシードは、大麻産業だけでなく全ての産業の企業が、いかに新しい法律を利用して成長できるかを示す手本になると信じている」と述べた。併せて、「今後、大麻が連邦レベルで合法化された際には、(今回の株式公開により)当社には既に全米にたくさんの投資家がいて、知名度もあるだろうから、より早く全米や国際的に認知されるブランドになる可能性がある」と、早い段階から個人投資家を得る利点を強調した。また同社は、他企業に買収されたりIPOしたりした際に、個人投資家にも利益をもたらすことを見込んでいる。

カリフォルニア州では、2018年に成人(21歳以上)の大麻所持・娯楽利用が合法化された(所持量や利用場所などの規制あり)。米国で何らかの医療用大麻(注2)の使用を認めているのはアリゾナ、ハワイ、テキサスなど36州あり、医療用に加えて娯楽使用を認めているのはカリフォルニア、コロラド、ワシントン、オレゴンなど10州とワシントンDC(2020年1月1日時点)。他方、連邦レベルではまだ、非合法のままだ。大麻ディスペンサリー(販売店舗)の口コミサイトを運営するリーフリーの調査によると、2018年の合法大麻(医療用・娯楽利用)の全米売上高は108億ドルで、21万人以上が合法大麻産業にフルタイムで従事している。

(注1)ビジネス育成や経済の活性化を目的に、2012年にジョブズ法(Jumpstart Our Business Startups Act:JOBS Act)が成立。中小企業の上場や上場前の企業の資金調達に関する規制上の要件を緩めることなどを定めた。規制Aは、ジョブズ法の一部分で、未上場のまま株式公開をするための要件が定められている。

(注2)CBD(大麻に含まれる化学物質で精神活性作用がないとされる)オイルなどを限定的に認める場合も含む。

(田中三保子)

(米国)

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