米財務省、中国に対する為替操作国の認定を解除
(米国、中国)
ニューヨーク発
2020年01月16日
米国財務省は1月13日、「米国の主要貿易相手のマクロ経済と為替政策(Macroeconomic and Foreign Exchange Policies of Major Trading Partners of the United States)」報告書(半期為替政策報告書)を公表した。財務省は2019年8月5日、中国を為替操作国に認定(米財務省、ブラック ジャック)していたが、今回の報告書において「現時点で中国を為替操作国に認定すべきではないと判断した」として、これを解除した。
報告書では、米中両国は交渉を通じて、貿易と通貨の特定問題を含む第1弾の合意に達しており、この中で「中国は競争的な通貨切り下げを行わず、競争的な目的で為替レートを目標にしないという実効可能性のある約束」をし、「為替レートと外貨準備高に関する関連ブラック ジャック 必勝 法を公開することにも同意」しているとした。スティーブン・ムニューシン財務長官は、声明文において「中国は透明性と説明責任を推進しながら、競争的な通貨切り下げを行わないという実効可能性のある約束をした」と、解除の理由を説明した。
為替操作国の認定を行うに当たっては、2015年貿易円滑化・貿易執行法に基づき、米国との物品貿易の輸出入総額が400億ドルを超える国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(物品の対米貿易黒字額が年間200億ドル以上)、(2)実質的な経常収支黒字(経常収支黒字額がGDP比2%以上)、(3)持続的で一方的な為替介入(介入総額をGDP比2%以上かつ過去12カ月間のうち6カ月以上の介入実績)、という3つの基準が設定されている。
今回の報告書では、前回(2019年5月31日記事参照)と同様に、3つの基準全てに該当した国はなかったが、監視リストには、前回も取り上げられた中国、日本、韓国、ドイツ、イタリア、アイルランド、シンガポール、マレーシア、ベトナムの9カ国のほか、スイスが新たに加わり、計10カ国が監視対象とされた。
中国については、(1)のみが該当していたが、米国の貿易赤字において巨大かつ不均衡な割合を占めると米国が判断したことから、引き続き監視対象とされた。報告書では、「市場開放をより進めるための断固たる措置を講じる必要がある」と指摘した。
日本、ドイツ、韓国、イタリア、マレーシアは引き続き(1)と(2)、シンガポールは(2)と(3)の2つの基準にそれぞれ該当していたことから、前回と同様に監視対象とされた。アイルランドとベトナムは今回(1)のみに該当していたが、前回報告書で(1)と(2)に該当していたことから、引き続き監視対象となった(注1)。スイスは(1)と(2)に該当していたことから、新たに監視対象追加とされた(注2)。また、次回報告書では、アイルランドが監視対象から外される可能性があるとした一方で、今回は監視対象とされていない台湾やタイについて主要基準に抵触する可能性があるとした。
これに加えて、1988年包括通商競争力法に基づき、各国が国際収支の実効的な調整を妨げ、不公平な競争優位を得ることを目的として、自国通貨・米ドル間の為替レートを操作しているかどうかについても検討することとされている。しかし、この基準に照らして、今回は為替操作を行っていると認定される国はなかったとした。
(注1)監視リストに一度挙げられた国は、少なくとも向こう2回分(1年分)の報告書で対象国として取り上げられ、3つの基準にみられる改善が一時的なものでなく、永続的なものになっているかどうかについて評価される。
(注2)スイスは、2016年10月から2018年10月までの報告書においても、監視対象とされていた。
(権田直)
(米国、中国)
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