韓国の改正産業安全保健法の関連法規が1月16日に施行
(韓国)
ソウル発
2020年01月28日
韓国雇用労働部は、産業災害から労働者を守るために28年ぶりに産業安全保健関連法規(産業安全保健法、産業安全保健法施行規則、産業安全保健法施行令)を大幅に改正し、1月16日付で施行した。主な改正内容は次のとおり。
- 保護の対象を従来の「労働者」から「労務を提供する者」へ拡大。
- 産業災害の予防責任の対象を、従来の「事業主」のみから「代表理事」「工事発注者」「フランチャイズ加盟本部」にも拡大。
- 下請け労働者の安全確保を強化するため、請負人(元請け)の責任範囲を拡大し履行を強化。
- 従来認可してきた、有害・危険物質に関する作業の社内下請けを原則禁止とし、雇用労働部長官の承認を得た場合のみ可能とした。
- 事故災害が多発する建設業への安全確保を強化。
- 化学物質など安全データシート(MSDS)の作成・提出義務の対象を「(化学物質を)譲渡、提供する者」のみから「(化学物質の)製造・輸入者」まで拡大。また化学物質の名称や含有量などの非公開を求める場合は、雇用労働部長官の承認を受け、代替名称、含有量を記載することが新設された。
今回の産安法関連法規の改正においては、進出日系企業に向けに実施したジェトロ・ルールメークセミナーにおいて、法改正プロセスに参加することの重要性を啓発していたことから、ソウルジャパンクラブ(SJC)が施行規則と施行令改正案に係るパブリックコメントに意見を提出、また雇用労働部主催の公聴会に参加するなど積極的に関与し、当初の産業安全保健法施行令改正案では、MSDS作成対象の化学品の閾値(いきち)が100キログラムと規定されていたものを、研究用サンプル品のMSDS提出条項を削除する改正令に修正することができた(表参照)。
しかし、有害・危険物質に関する作業の社内下請けの改正条項(添付資料参照)では、水銀や鉛、カドミウムの製錬、注入、加工、使用作業と、重量比1%以上の硫酸、フッ化水素、硝酸、塩化水素を取り扱う設備の改造、分解、解体、撤去作業が対象とされたため、半導体製造装置メーカーによる機器の設置作業、保守点検作業なども対象となり、雇用労働部長官の社内下請け承認を得なければならなくなった。このため、対象となる企業は注意が必要だ。
(末永敏)
(韓国)
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