マニラ首都圏での自動車保有台数制限法案を提出、慢性的な渋滞が背景

(フィリピン)

マニラ発

2020年01月29日

マニラ首都圏で自動車の保有台数を制限する法案「駐車スペース証明法案(上院第368号)」が現在、国会で審議されている。

この法案は、首都圏に居住する個人や立地する法人を対象とし、自動車を購入する際に、一時的ではない恒久的な駐車スペースを保有することを求める内容となっている。

違反した場合、当該個人または法人は自動車の登録を3カ月停止され、5万ペソ(約10万5,000円、1ペソ=約2.1円)の罰金が科せられる。違反した個人または法人に対して自動車登録を許可した役人には、3カ月の停職を科す。

法案は序文で、マニラ首都圏の幹線道路であるエドサ通りやマニラ港周辺をはじめ、あらゆる道路で渋滞が慢性的に発生しており、恒久的な駐車スペースを持たない自動車のオーナーによる公道上の違法駐車が渋滞原因の1つになっていることを法案制定の背景とした。

フィリピンを代表する大企業の経営者などで構成するフィリピン経営者協会(MAP)は2019年11月、悪化する首都圏の交通渋滞の緩和策を早急に行うよう求める要望書を政府に提出。MAPは、首都圏の小売価格は渋滞によって上昇しており、工場から小売店までの輸送経費は通常、小売価格の16%程度だが、首都圏では25~29%に上ると指摘した。

アジア開発銀行(ADB)は2019年9月、アジア諸国278都市の中でマニラ首都圏を最も交通渋滞が深刻な都市として選定した。ADBによると、交通渋滞の原因は、効率的かつ経済的な公共交通機関が圧倒的に不足しているためとし、人の移動経路の25%は公共交通機関が利用不可能とした。

(坂田和仁)

(フィリピン)

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