シンガポール、新型コロナウイルスで経済への影響見込む
(シンガポール)
シンガポール発
2020年01月29日
シンガポールのチャン・チュンシン貿易産業相は1月27日の会見で、新型コロナウイルスによる肺炎の感染の影響が当面続くことが予想されるため、「国内経済やビジネス、消費者信頼に今年、インパクトを与える」との見込みを示した。チャン貿易産業相は、直近で懸念される分野として、観光の旅行代理店や宿泊、運輸を挙げた。
シンガポールでは1月28日までに、中国湖北省武漢市からの旅行者7人の新型肺炎の感染が確認されている。同貿易産業相は、国内経済と労働者への必要な支援をするために、貿易産業省が商工会議所や業界団体と密接に協力していると説明した。2003年の新型肺炎(SARS)の時と同様に、企業への支援として、ビジネスコストを引き下げ、資金繰りの負担を軽減し、労働者の雇用確保で支援する方針を示した。また、同相は企業に対し、当面の対応として、「事業継続プラン(BCP)の見直しを行っていない場合には、その見直しの実施」を促した。
渡航延期の勧告地域、中国全土に拡大
シンガポール政府は、中国を中心に各国で新型肺炎の感染が拡大しているのを受け、1月22日に関係省庁の閣僚からなるタスクフォースを設置した。同タスクフォースの共同委員長を務めるローレンス・ウォン国家開発相は27日の会見で、同日付で不要不急の渡航延期の勧告地域について、それまでの湖北省から中国全土へと拡大すると発表した。また、空港での体温検査について、中国だけでなく、全ての国からの航空便について、乗客を体温スキャナーで検査すると述べた。
タスクフォースのメンバーの1人、オン・イエカン教育相は1月27日、14~15日以降に中国から帰国した公立の幼稚園や小中高、大学の学生と職員に対し、14日間の休暇取得を義務付けると発表した。また、ウォン国家開発相は同じ会見で、企業に対し、従業員が中国に渡航した場合、健康と旅行内容の申告を求め、毎日体温を検査し、何らかの症状が発症した場合には医師の診断を求めるよう促した。
シンガポールでは、2003年の新型肺炎(SARS)の流行の際には、238人が感染し、このうち33人が死亡した。
(本田智津絵)
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