中国国務院、春節休暇の延長を発表、専門家はビジネスへの影響を懸念
(中国)
中国北アジア課
2020年01月28日
中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染がさらに拡大し、広東省や浙江省、重慶市、北京市、上海市など各地でも確認されている。
中国全土の累計感染者4,515人(1月28日午前0時時点、以下同)のうち、湖北省で60%に当たる2,714人が確認された。広東省や浙江省などでも100人を超えた(表参照)。既に退院した感染者は60人にとどまり、死者は106人に上っている。
世界保健機関(WHO)は1月26日、新型コロナウイルスの世界的な危険度の評価を「中低度」から「高い」に修正した。また、米国疾病予防管理センター(CDC)は23日、中国への不必要な渡航を避けるよう勧告する最高レベル「レベル3」に引き上げた。
また、中国国務院は26日、春節(旧正月)の休暇期間を2月2日まで延長する(2月3日から通常どおり出勤)ことを発表した。各地の大学や専門学校、大学院、小中学校、高校、幼稚園の新学期開講も遅らせるとし、具体的には教育部門から別途通知するとした。
一方、上海市政府は27日、市内の企業の春節休暇明けの就業開始を2月10日0時以降、大学や専門学校、大学院、小中学校、高校、幼稚園、託児所などの開講を2月17日以降とする通知を出した。なお、電気や水道など都市インフラ、医薬品や医療機器の販売など感染拡大の防止につながる業種、スーパーや飲食業など市民生活に欠かせない業種は例外にした。蘇州市政府も26日、人の移動を最小限にとどめるべく、企業の就業開始を2月9日0時以降、学校など教育機関の開講は2月18日0時以降とする通知を出しており、ビジネスへの影響が懸念されている。
北京市大地法律事務所の熊琳パートナー弁護士によると、中国政府は「重大突発公共衛生事件」を4段階で管理しており、現在、チベット自治区(2級事件)以外の省はいずれも「特に重大」な公共衛生事件に属する1級事件の対応を取っている。熊弁護士は、現行法規は各地の1級事件の対応として、感染者と接触者に対する厳格な隔離措置の実施、人の移動制限と、接触減少など、強力な措置を講じるよう要求していると指摘する。このため、以下の点に留意するようアドバイスしている。
- 現在は疫病の拡散段階にあることを考慮し、多くの省級政府が集会などの集団活動を禁止する命令を出している。このため、中国でのセミナーや商談会など多くの人が参加する活動は、状況が終息するまで中止または延期を提案する。
- 大部分の省級政府が既に公共交通を制限する命令を出している。このため、調査やミッション派遣などの活動は状況が終息するまで中止または延期した方が良い。
- 少人数が参加する相談会については、依然として継続実施できる可能性はあるが、感染地域の人が参加しないよう事前の審査に注意すべきだ。
なお、日本の内閣官房では、新型コロナウイルスに関連した感染症への対応について、ホームページを開設してブラック ジャック サイト提供を開始した。感染症の概要や一人一人ができる対策なども紹介している。ジェトロも「新型コロナウイルス感染拡大の影響」と題する特集ページを設け、中国および世界各国の感染状況やその対応などについて報告している。
(宗金建志、方越)
(中国)
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