新型コロナウイルス感染は全土に拡大、各省政府は交通規制など対策強化
(中国)
中国北アジア課
2020年01月27日
中国では、湖北省武漢市が発生源とされる新型コロナウイルスによる肺炎の感染が同省のほか、浙江省や広東省、重慶市、湖南省、安徽省、北京市などでも多く確認されており、チベット自治区を除く中国全土に拡大している。
中国全土における累計感染者1,975人(1月26日午前0時時点、以下同)のうち、湖北省の感染者が約半数を占めて1,052人が確認された(表1参照)。感染者の所在地は武漢市(618人)、黄岡市(122人)、孝感市(55人)、咸寧市(43人)、荆門市(38人)、随州市(36人)、荆州市(33人)、黄石市(31人)などとなっている。既に退院した感染者は42人だが、死亡者は52人に達した。
武漢市では、1月23日午前10時から市内の公共交通機関(地下鉄、路線バス、長距離バス、フェリー)を運休し、鉄道駅と空港を閉鎖した()。また、同日午後には湖北省内の高速道路の入り口や料金所も閉鎖された。24日午前0時時点で武漢市に加え、湖北省の鄂州市や黄岡市、赤壁市、仙桃市、枝江市、潜江市でも、鉄道や長距離バスなどを含む公共交通機関の運行が停止(「証券時報」1月24日)。武漢市では24日正午から相乗りタクシーの営業が禁止され、26日からは市中心部の車両走行も禁止された(輸送車両、無料交通車両、公務用車両などを除く)。
湖北省政府は22日、新型コロナウイルスの感染拡大の予防を強化すべく、省長をトップとする対策本部「湖北省新型コロナウイルス予防抑制指揮部」(以下、指揮部)を立ち上げた。指揮部は翌23日、通告(表2参照)を発表したほか、25日午後の会議で、同日から武漢市内の全ての病院で発熱外来の受け入れを24時間態勢で行うことを決定した。各医院で患者の重症度による分類を行い、患者受け入れの効率化を図る。
浙江省でも104人の感染が確認され、市別の内訳は杭州市(27人)、台州市(21人)、温州市(18人)寧波市(13人)など。同省政府は1月23日に対策会議を開き、省内の指揮命令系統の明確化や、空港、港、鉄道駅などでの検疫所の設置と検温の実施などの10大措置を打ち出した。また、26日付の「中国新聞網」によると、27日午前0時から省内外を結ぶ長距離バスの運行を暫定停止するほか、既に一部の高速道路料金所を閉鎖している。
広東省では、全省で98人の感染者が確認され、深セン市(27人)、広州市(14人)、珠海市(10人)、仏山市(10人)など省内の広い地域に及ぶ。同省では1月22日時点で30カ所の指定病院を公表している。また、同省政府は24日、上述の浙江省での措置をはじめとする16条の措置を打ち出して対応を急いでいるほか、26日には公共の場でマスク着用を義務付け、違反者には罰則を科す通達を発表した。マスク着用が義務付けられるのは、広東省内の(1)ホテル、レストラン、喫茶店、酒場など、(2)公共浴場、理髪店・美容院、(3)映画館、カラオケなど、(4)体育館、プール、公園、商店街など(5)商店、書店、(6)病院待合室、航空機・船などの待合室、高速道路サービスエリア、公共交通(タクシーおよびネット予約タクシーを含む)、(7)博物館、美術館、図書館、(8)その他の公共の場となっている。
51人の感染者が確認されている北京市では1月26日、市交通委員会が市内外を結ぶ長距離バスと観光バスの運行を同日から停止すると発表した。
このほか、江蘇省蘇州市では、市内の企業(水道・ガス・電気供給、通信、スーパーなどを除く)の操業再開を2月9日午前0時以降、学校の始業を2月18日午前0時以降とする通達が発表された(「中国新聞網」1月26日)。
(方越、小林伶)
(中国)
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