ハンガリー政府、2020年1月から最低賃金を引き上げ
(ハンガリー)
ブダペスト発
2020年01月21日
ハンガリー政府は、2019年12月30日付の官報で最低賃金の引き上げを発表した。2020年1月1日から8%引き上げられ、高校卒業以上の資格保有者の最低賃金は2019年の19万5,000フォリント(約7万2,150円、1フォリント=約0.37円)から21万600フォリントに、それ以外の最低賃金は14万9,000フォリントから16万1,000フォリントになった。引き上げ率8%は、2018年の政府、経営者、労働組合の代表者間の協定に基づいたもの。
引き上げ率は、最終的には協定に基づく数値に落ち着いたものの、そこに至る交渉は難航した。この協定では、特定の経済指標が政府予想(2019年のインフレ率が2.7%、GDP成長率が3.9%、生産性向上率が2.9%)と大きく異なる数値となった場合、最低賃金の上昇率を再交渉することが規定されており、この条件が満たされたためだ。2019年12月の上旬から3者間で交渉が行われていた。
労働組合側は、平均賃金上昇率に対応して、最低賃金についても10%を超える引き上げを求めたが、経営者側は同協定よりも高い割合での引き上げは難しいとして消極的な姿勢をみせていた。
経営者側は政府に対し、雇用者側負担の社会保険料である社会貢献税について、税率の2ポイント引き下げを半年間前倒しして2020年1月に実行することも求めていたが、これも前倒しは見送られた。2016年に合意された3者間の協定では、各年第1四半期の実質賃金が前年同期比で6%以上増加した場合、第3四半期に2ポイント引き下げることが規定されている。
高い経済成長率やタイトな労働市場を受け、賃金は上昇を続けており、2019年1~10月の実質賃金上昇率は前年同期比7.4%となっている。2020年は上述の条件が満たされる見込みで、この場合、協定に基づき2020年7月1日から引き下げられる可能性が高い。なお、2019年7月1日にも、同税の税率は19.5%から17.5%に2ポイント引き下げられている。
(バラジ・ラウラ)
(ハンガリー)
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