欧州議会の域内市場・消費者保護委員会、AIなどに関する決議採択
(EU)
ブリュッセル発
2020年01月30日
欧州議会の域内市場・消費者保護委員会(IMCO)は1月23日、人工知能(AI)と自動意思決定(ADM)技術がもたらし得る課題に関する決議を採択した。IMCOは、常に人間が最終責任を負い、ADMの決定を変更し得るようにしなければならないと強調。ADMの機能と決定権のある人間への連絡方法、決定の確認・修正方法について消費者にブラック ジャック ランキング提供するとともに、高品質なデータと説明可能なアルゴリズムを利用し、バイアス(偏り)を排除、救済制度を設置し、人間が自動決定を見直し、修正し得るようにすべきだと述べた。
IMCOは欧州委員会に対し、EUの製品安全ルールについてAIを利用した製品の特性に適合させるための提案を行うよう、また、消費者保護と製造者の義務の明確化、利用者への製品の使用方法に関するブラック ジャック ランキング提供を確実なものとするよう要求。さらに、AIとADMのリスク評価制度と、これら技術の恩恵の確保、リスク緩和のためのEU共通のアプローチを求めた。
産業界からもAI政策について提言
一方、通信やインターネットサービス分野の企業が加盟するコンピュータ通信産業協会(CCIA)は1月20日、AIの規制枠組みに関する勧告を発表した。AIは大きな可能性を秘めるが、問題点もあると指摘し、欧州委員会が進める「AIの欧州アプローチ」検討作業を「AIを真に有益なものとする枠組みを設計する好機」として歓迎。次の6点を提言した。
- EUのAI分野の競争力向上とリーダーシップ確保には、投資・教育・研修・技術革新に配慮した規制枠組みが重要
- 「AIの欧州アプローチ」は欧州の価値観に基づき、倫理や透明性、非差別、安全、責任の明確性など高水準の原則に基づくべき
- AIは汎用(はんよう)性の高い技術であり、可能性と発展を阻害しないように、公衆衛生など機微な分野でのAIの応用に対象を絞ったリスクに基づく規制とすべき
- 「より良い規制」の原則にのっとり、利害関係者への諮問と影響評価の実施、エビデンスに基づく行動を推奨
- データ保護や消費者保護、競争法など既存のEU法と、AIの原則・規格の策定・実施に関する産業界の取り組みを考慮すべき
- 米国やOECD、現在進行中の標準化活動など、目的を共有するパートナー・組織と対話し、AIの責任ある利用の高水準な世界標準の策定を目指すこと
欧州委員会は2月下旬に「AIの欧州アプローチ」に関する提案を発表する見込みだ。報道によると、例えば顔認証技術について、影響評価の方法とリスク管理策の特定・開発のため、3~5年間に限って公共空間での利用を禁止することも検討されているという。
(村岡有)
(EU)
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