2019年の自動車販売台数は30万台に回復、EV人気が持続
(スイス)
ジュネーブ発
2020年01月29日
自動車業界団体のオートスイス(Auto-Schweiz)の1月6日の発表によると、スイスの2019年の自動車販売台数は前年比3.9%増の31万1,466台だった(表1参照)。
ブランド別にみると、上位3社は前年同様、フォルクスワーゲン(シェア11.1%)、メルセデス・ベンツ(8.6%)、BMW(8.0%)だった。日系ブランドでは、トヨタ(シェア3.5%、16.3%増)、レクサス(0.3%、27.5%増)が2桁台の増加で好調だった。
特に伸び率が大きかった車両カテゴリーは、電気自動車(EV)(1.6倍)、ハイブリッド(ガソリンとディーゼルの合計で68.0%増)、圧縮天然ガス(55.5%増)で、代替エネルギー車(EV、ハイブリッド、圧縮天然ガス、水素)のシェアは13.1%となり、環境配慮型自動車の販売台数のシェアが初めて10%を超えた(表2参照)。一方で、ディーゼル車は11.9%減となった。また、四輪駆動車のシェアはもともと大きかったが、初めて50%を超えた。
オートスイス会長のフランソワ・ロウナ氏はジェトロのインタビューに対し、EVの推進は最重要課題の1つだと述べた。オートスイスは3月のジュネーブモーターショーで、EVの消費者向け理解を深めるためのブースを設ける予定だ。
同団体は、EVやプラグインハイブリッドなどの電動車の市場シェアを2020年までに10%まで高める「10/20」プロジェクトに取り組んでいるが、シェアは2017年の2.7%から2019年の5.6%へと順調に伸びており、2020年までの目標達成は期待できるとした。
なお、スイス政府は2020年から新しい二酸化炭素(CO2)排出規制を導入、走行1キロ当たりの排出量上限が、新規登録の自動車はこれまでの130グラムから95グラムに引き下げられ、小型商用車についても新たに147グラムの上限が設定された。輸入車の年間のCO2総排出量の平均値が上限を超過した自動車の輸入者には罰金が科される。オートスイスによると、これはEUが導入している規制内容を準用したものだが、EU加盟国の販売業者は全加盟国とノルウェー・アイスランド間で規制に対する超過分を相殺できるのに対して、EU非加盟であるスイスの輸入業者はスイス国内のみでこの基準を守らなければならない。加えて、四輪駆動車のシェアが比較的高いスイスは、他国に比べてCO2排出量の値が高くなる傾向がある(2017年で1キロ当たり、スイス:134.1グラム、ドイツ:127.1グラム、EU:118.5グラム)。しかし、現在の環境配慮型車両へのシフトが続けば、目標達成は期待できるとロウナ会長は述べた。また、EVの推進のためには、充電ステーションのさらなる整備が課題だとした。
(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)
(スイス)
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