欧州中銀、政策金利を据え置き、ラガルド新総裁の初の政策理事会

(欧州、EU、ユーロ圏)

デュッセルドルフ発

2019年12月13日

欧州中央銀行(ECB)は12月12日、フランクフルトで開催した政策理事会後の記者会見で、政策金利(主要リファイナンス・オペ金利)を0.00%、限界貸付ファシリティー金利(オーバーナイト貸し出し、翌日返済)を0.25%、預金ファシリティー金利をマイナス0.50%にそれぞれ据え置くと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。据え置き期間についても、「物価上昇率が2%未満かそれに近い水準に十分に近づき、物価上昇基調に持続的に反映されるまで」として、具体的な期間に触れない立場を堅持した。

ECBはユーロシステムによる債券・国債の購入プログラム(APP:asset purchase programme)を月額200億ユーロ規模で11月1日から再開し、緩和政策の効果を高めるために「必要な限り」継続することを確認するとともに、金利の引き上げ開始前まで継続する。APPを通じて購入し、保有する債券・国債の再投資については、主要政策金利の引き上げに着手した日から継続する方針をあらためて示した。

マリオ・ドラギ総裁が10月末に退任し、11月1日にはフランス出身でIMF専務理事を務めていたクリスティーヌ・ラガルド氏が初の女性総裁として就任した。初めての記者会見でラガルド総裁は「地政学的要因や保護主義の台頭、新興市場の脆弱(ぜいじゃく)性などに関するユーロ圏の成長見通しを取り巻くリスクについて、依然として下振れ傾向にある」と指摘したが、そのリスクは「多少和らいだ」として、状況が改善しつつあるとの見方を示した。また、2020年1月から同年末まで、16年ぶりとなる政策戦略の再検討に着手し、ECBの主要タスクであるユーロ圏における価格安定の保護の定義が現代に即しているかどうかを確認するほか、政策戦略では技術的な変化や気候変動、社会の不平などに関する点についても取り組む予定だと発表した。

記者会見に合わせて発表されたユーロ圏に関するECBスタッフマクロ経済予測外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、2019年の実質GDP成長率を前回(9月)予測値の1.1%から1.2%に0.1ポイント上方修正(表参照)。2020年については前回の1.2%から1.1%に0.1ポイント下方修正した。2021年は1.4%の予測を維持し、2022年については2021年と同じく1.4%と予測した。消費者物価上昇率(HICP)は、2019年は前回の1.2%を維持し、2020年は前回の1.0%から1.1%に上方修正した。2021年については前回の1.5%から1.4%に下方修正したが、2022年は1.6%に回復する見込みを示した。

表 ECBスタッフマクロ経済予測「ユーロ圏の経済成長予測」(前年比)

(ベアナデット・マイヤー、木場亮)

(欧州、EU、ユーロ圏)

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