欧州委員会、WTO上級委員会機能停止への対応策を提案へ

(EU、世界)

欧州ロシアCIS課

2019年12月13日

欧州委員会のフィル・ホーガン委員(通商担当)は12月10日、WTO上級委員会が同日に実質的に機能停止状態となった(関連ブラック ジャック ルール)ことを受けて声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを発表した。

同委員は声明の中で、「(1995年の設立から)24年にわたりWTOの上級委員会と紛争解決に信頼を置いてきたルールに基づく国際貿易システムにとって、非常に深刻な打撃」と遺憾の意を示した上で、EUが多国間貿易システムの確固たる支持者であり続けること、効果的な紛争解決システムを伴うWTOが公正で開かれた貿易を確保する上で不可欠なことを断固として信じると強調した。

その一方でホーガン委員は、WTOが世界の潮流の変化に伴うビジネス環境を反映する必要があるとし、包括的な改革が求められる機能として、「貿易ルールのプロデューサー」「各国の貿易政策および慣行の監視者」「その紛争解決機能」の3点を提起。これらの問題に対して、EUはこれまでも日本を含むWTO加盟国と協力して解決に向けて取り組んできており、2018年11月26日には上級委員会の機能停止を見据え、WTO加盟国のうち11カ国(オーストラリア、カナダ、中国、アイスランド、インド、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、シンガポール、スイス)とともに、暫定的な提訴措置PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を提案していた。

欧州委員会は、EUが引き続き国際貿易問題でその権利行使を継続すべく、近くさらなる提案を明らかにするとしている。

(根津奈緒美)

(EU、世界)

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