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(マレーシア、イラン、トルコ)
アジア大洋州課
2019年12月27日
マレーシア、イラン、トルコの首脳会談が12月19日にクアラルンプールで開催され、イランのハッサン・ローハニ大統領がイスラム教徒向けの共通暗号通貨(デジタル通貨)構想を提案し、意見交換が行われた。貿易決済における米ドル依存を低下させ、イスラム圏での貿易、イスラム金融の利用を促進する狙い。マハティール・モハマド首相はかねてイスラム圏での共通通貨を提案しており、ブロックチェーン技術により実現性が高まった(マレーシアの「マレーメール」紙12月19日)。
同会談は、12月18~21日にクアラルンプールで開催された「クアラルンプール・サミット2019」に併せて行われた。同サミットの開催は今回が5回目で、ローハニ大統領のほか、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領、カタールのタミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長、インドネシアのマルフ・アミン副大統領ら、イスラム教を国教とする国やイスラム教徒の多い国など50カ国を超える国・地域から代表らが出席した。
マハティール首相は同サミットの中で、「マレーシアは、国家間の摩擦解消を目的とする貿易制裁について、それがどのような形であれ反対する」と述べ、イランへの制裁措置によりマレーシアが同国市場(輸出市場)を失った例を挙げ、「(制裁は)他国を巻き込む行為だ」として厳しく批判した(「マレーメール」紙12月20日)。
また、マハティール首相は、世界中で「イスラム恐怖症(Islamophobia)」とも言うべきイスラム教への偏見、不当な行為がまん延していることに懸念を述べ、インドの市民権法についても批判した(12月19日付「ブルームバーグ」紙ほか)。これに対して、インド政府は「内政干渉」として、12月21日に駐インド・マレーシア公使を呼び出して同国に抗議した(インドの「ザ・ヒンドゥー」紙12月21日)。
サウジアラビアやパキスタンは参加を見送り
なお、今回のサミットには、サウジアラビア、パキスタンの首脳が出席していない。同サミットには、サウジアラビアと関係が悪化しているイラン、トルコ、カタールから首脳が参加しており、サウジアラビアのジエッダに本部を置くイスラム協力機構(OIC)は、今回のサミットについて「イスラム(の共同体)を弱体化させる会議」として批判している(AFP通信12月19日)。
パキスタンは以前から、サウジアラビアとイランおよびトルコの対立に関しては中立的な立場だったが、当初出席を予定していたイムラン・カーン首相は、サウジアラビアに配慮して急きょ欠席したかたちとなった。パキスタン国内では、イスラム圏での影響力の低下を招く外交的失策として、同決定を批判する声もある(パキスタンの「ドーン」紙12月23日)。
(北見創)
(マレーシア、イラン、トルコ)
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