AMLO政権発足1年、高支持率ながら汚職・治安・経済の評価はダウン

(メキシコ)

メキシコ発

2019年12月09日

メキシコのアンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)政権が発足して12月1日で1年が経過した。AMLO氏が大統領就任前に公表した優先7プログラム(関連ブラック クイーン ブラック)に関しては、現行のメキシコシティ国際空港に代わる新空港建設の中止(関連ブラック ジャック アプリ)と、それを代替するサンタ・ルシア空軍基地(拡張)の使用決定が発表された(関連ブラック ジャック ディーラー)が、それ以外には大きな進展はない。

他方、エネルギー分野ではAMLO政権色が際立った。2004年に日量約330万バレルだったメキシコの原油生産量は、10月時点で166万バレルと約半分にまで落ち込んでいる。政府はメキシコ石油公社(PEMEX)へのてこ入れのために公的資金の大規模投入を2度行い(2019年2月と7月)、2018年12月に発表した国家炭化水素生産計画に基づき、タバスコ州ドスボカス石油精製所の建設を進めるなど、ペニャ・ニエト前政権の目玉政策の1つだった石油分野の民間開放政策を転換したことが目立つ。

世論調査会社ミトフスキーの調査報告書によると、AMLO氏が大統領に就任した最初の四半期の政権支持率は最高で67.1%あったが、直近の11月は58.6%と8.5ポイント下降した。高い支持率を維持してはいるが、メキシコの歴代政権の初年終了時の支持率を見ると、サリーナス政権が69.2%と最も高く、カルデロンとフォックス両政権はAMLO政権と同じく約59%だったことから、AMLO政権の支持率が特筆して高いというわけではない(図1、2参照)。

図1 ロペス・オブラドール大統領への支持率の推移
図2 歴代大統領の初年終了時の支持率

また、AMLO政権発足の半年後と1年後の評価を比較すると、汚職、治安、経済の全てで「悪化した」という回答が増加した(表参照)。治安に関しては、国家警備隊を創設するなどして改善に努めたが、2019年1~11月の全国の殺人件数は3万件超と前年同期を上回っており、麻薬組織が絡んだ抗争は減っていない。経済は国家緊縮計画に基づく公共投資の削減などにより、2019年の実質GDP成長率が0%と発表されるなど(2019年11月5日記事参照)、景気悪化が感覚だけでなく数字でも認識されたことがアンケート結果に表れたと考えられる。

表 AMLO政権発足半年後と1年後の評価の違い

(志賀大祐)

(メキシコ)

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