フン・セン首相、EBA継続へのEUの要求に反発
(カンボジア、EU)
プノンペン発
2019年12月04日
カンボジアのフン・セン首相は11月21日、一般特恵関税制度の1つである「武器以外の全て(EBA)」(注)を維持するためのEUの要求は受け入れられないとし、EBA失効への準備は十分に整っていると発言した。また、「EUがEBAの適用取り消しを脅しとして使用し、その要求を受け入れるよう圧力をかけている」とも批判した(「クメール・タイムズ」紙11月22日)。
EUはカンボジア政府による野党弾圧と人権侵害を理由に、2019年2月からEBAの見直しに向けた調査を行っており、11月12日にカンボジア政府に対し、EBAを維持するための要求を記載した中間報告書を送付した。カンボジア政府は1カ月後の12月12日までに回答する必要があり、EUは2020年2月にEBAを継続するかどうかの最終決定をする予定だ。EBAが失効すると、2020年8月にEUの輸入関税が再導入される。
カンボジアに約50のサプライヤー工場があるH&Mの生産責任者は「EUの特恵関税が廃止された場合、カンボジアから中国やインドネシアなどへの生産移管を考えている」という(ロイター11月4日)。
カンボジアにとってEUは最大の輸出先で、2018年の輸出額全体の45%を占め、うち95%がEUでの輸入時にEBAによる免税の恩恵を受けている。在カンボジアEU商工会議所は、EBAが失効すると9万人の雇用が危険にさらされると推計しており、カンボジア経済への影響が懸念される。
(注)武器以外の全ての品目について輸入関税を無税とし、輸入割り当ても行わないとするEUの特恵関税制度。
(ブット・ノラ、磯邊千春)
(カンボジア、EU)
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