斬新な偏頭痛治療機器を開発するセラニカ

(イスラエル)

テルアビブ発

2019年12月20日

ジェトロは、イスラエルにデジタルヘルス分野のミッション派遣()を11月25~28日に実施した際、ヘルスケア専門ベンチャーキャピタルのエイムーン(aMoon)が出資するセラニカ(Theranica)から、開発中の斬新な偏頭痛治療機器に関する説明を12月16日に聞く機会を得た。以下紹介する。セラニカは2016年に3人のイスラエル人起業家が設立したデジタルヘルス分野のスタートアップで、これまでに4,100万ドルの資金調達に成功している。共同創業者の1人、スラバ・バラバシュ氏(Slava Barabash)に聞いた。

セラニカのプラットフォームは、先進的な神経調節治療とワイヤレス技術で構成されて、米国では8人に1人(約4,000万人)、世界では約10億人が苦しんでいる偏頭痛治療領域の製品開発を進めている。同社初の製品「ネリビオ(Nerivio)」は2019年5月に米国食品医薬品局(FDA)からデノボ(De Novo=同等の製品が存在しない新規医療機器)として認定を受けている。

ネリビオの治験データでは、治療を開始して2時間で67%の患者は偏頭痛が大幅に緩和し、時間にかかわらず38%は偏頭痛が消えたという。ネリビオは、上腕部に装着するデバイス(使い捨てで、45分間の治療を12回行うことが可能)と、スマートフォンアプリで構成されている。偏頭痛を発症した際に患者はスマートフォンアプリからデバイスを起動し、デバイスから出る刺激によって条件刺激性疼痛(とうつう)調節(CPM, Conditioned Pain Modulation)のメカニズムで痛みを抑制する仕組み。

バラバシュ氏によると、2019年に米国の100程度のクリニックで臨床試験を開始、2020年には300程度まで拡大する。2021年までは米国市場を中心に事業展開し、2022年以降に欧州や日本市場へ展開する計画だ。

セラニカには、日本のオムロンベンチャーズやコランダム・イノベーションのイスラエル子会社が出資している。

(荏原昌)

(イスラエル)

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