世界銀行、アジア初の大災害債券を発行
(フィリピン)
マニラ発
2019年12月11日
世界銀行グループの国際復興開発銀行(IBRD)は11月25日、フィリピンでの地震や台風といった大災害リスクを証券化した合計2億2,500万ドルの大災害債券(CATボンド)(注1)を発行したと発表した。
IBRDが発行したCATボンドは、7,500万ドルの地震債券と1億5,000万ドルの台風債券の2トランシェ(注2)で構成され、償還日は地震債券が2022年12月22日、台風債券が2022年12月2日、リスクマージンは地震が年5.50%、台風が5.65%とされた。
世界銀行のジンドン・ファ・バイスプレジデントは、アジア諸国では初となるフィリピン向けCATボンドの発行は、世界銀行とフィリピン政府が長年築いてきた緊密な関係があってこそ実現したもので、頻発する自然災害による経済損失リスクを軽減するための革新的な解決方法の1つだとした。
フィリピンでは地震や台風による自然災害が多く発生しており、フィリピン開発学研究所(PIDS)によると、1905年から2017年までに837の自然災害が発生し、GDPの0.5~3%に相当する経済損失が発生したとされる。特に2013年の台風「ヨランダ」による人的被害や損害は大きく、6,300人が死亡し、GDPの4.7%に相当する129億ドルの経済損失が発生した。
(注1)低確率で発生する大災害など、一定要件を満たす災害が発生した場合に、債券発行会社が資金を受け取る債券。
(注2)金利や価格、リスクなど、スプレッド格差に応じて証券化商品を切り分けたもの。フランス語で「一切れ」を意味。
(坂田和仁)
(フィリピン)
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