連邦政府、EV普及へ新車購入補助金と充電インフラを拡充
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2019年11月13日
ドイツ連邦政府は11月4日、電気自動車(EV)の普及促進や包括的な水素戦略の策定、自動運転技術の法的・技術的な枠組みの作成を進めることで、産業界、労働組合、州政府などの関係者と合意したと発表した。
目玉政策の1つは、連邦政府によるEVなど低排出ガス車の導入を促進するための新車購入補助金の延長・拡大だ。政府は5月末に2020年末まで期限を延長すると発表していたが()、今回さらに2025年末までの延長を決定。EV購入時の補助額についても、リスト掲載価格が4万ユーロ未満の純EV車種は4,000ユーロから6,000ユーロに、4万ユーロ以上6万5,000ユーロ以下の純EV車種については5,000ユーロにそれぞれ引き上げる。連邦政府は今回の施策により約65万~70万台のEVの新規購入を促進できるとしている。
併せて、充電インフラの拡充にも本格的に乗り出す。EVの公共充電スタンドを現在の約2万1,100カ所から2030年までに100万カ所に増やすという連邦政府の気候変動対策パッケージ(関連ブラック ジャック オンライン)の方針に基づき、今後2年間で5万カ所の公共充電スタンドを設置する。自動車産業も充電インフラの拡充に協力し、2022年までに1万5,000カ所の公共充電スタンドを設置するとしている。連邦政府は民間セクターによる充電スタンド設置を促すため、法的枠組みの整備も進める。
今回の発表では、代替燃料や自動運転分野でも注目すべき動きがあった。代替燃料については、特に水素関連技術に焦点を当て、政府は今後、包括的な水素戦略の策定に取り組む。ドイツ産業連盟(BDI)は、強固な産業基盤を誇るドイツでは野心的な気候変動対策は水素技術の促進によってのみ可能と述べ、政府による水素分野の研究開発への支援強化に期待感を示した。政府は自動運転やコネクテッドカーについても、イノベーションの創出を促すため、法的・技術的な枠組みを2020年3月にまとめるとしている。
ドイツ自動車産業連合会(VDA)のベルンハルト・マッテス会長は、今回の合意を歓迎する一方、公共および民間セクターの充電インフラの迅速な拡充に向けて「一刻の猶予もない」と指摘、政府によるさらなる取り組みを求め、「再生可能エネルギー由来の電気で充電を促進するため、まだすべきことがたくさんある」と述べた。一方、ドイツ機械工業連盟(VDMA)のハルトムート・ラウエン副最高経営責任者は「現在計画されているEVの新車購入補助金は大きな税金負担を伴う。これらの税金は研究開発に投資すべき」として、合意に懐疑的な見方を示している。
(ベアナデット・マイヤー、森悠介)
(ドイツ)
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