ニッティド、5本指ソックスの輸出で日EU・EPAを活用
(ドイツ)
ベルリン発
2019年11月08日
完全無縫製横編み機による世界初の「3次元ゆびソックス」を生産するニッティド(和歌山県海南市)は、高級5本指靴下の老舗ブランドだ。品質にこだわり、製造工程には手作業も組み込まれ、市場ニーズや用途に応じた糸の開発から手掛ける。2007年、ベルリンに欧州法人KNITIDO Europeを設立した。ジェトロは10月8日に井戸端康宏社長、10月17日に欧州向け輸出を担当する営業部マネジャーの小畑孝文氏に、日EU経済連携協定(EPA)の活用状況について聞いた。
5本指ソックスの輸出で日EU・EPAを活用
ニッティドのブラック ジャック 確率の主要市場は欧州で、ドイツの拠点からフランスやスペイン、イタリア、英国などへオンラインでの販売を行っている。ブラック ジャック 確率輸出の商流は、日本の本社が輸出した製品をドイツ現地法人が輸入し、欧州域内の販売先や顧客に発送するかたちだ。この本社からドイツ現地法人への販売に、日EU・EPAを活用している。
2018年末に、日EU・EPAの2019年2月発効のブラック ジャック 確率を得て、ニッティド本社側で準備を進めた。特恵関税適用のための原産地の申告は「輸出者が作成した原産地に関する申告」に基づくものとした。最初の通関では、原産地に関する申告文を商業書類への転載やその書類の一部という形ではなく独立した別添文書とした点や、日本語記載(注)による現地税関の誤解から、特恵関税不適用の扱いとなった。このため、EPA相談デスクから先行事例のサンプルを入手し、書類の見直しを行った。具体的には、インボイスに申告文を英語で記載し、満たすべき品目別原産地規則も異なることが分かったため、正しい加工工程基準に基づく根拠書類を再提出したところ、1カ月程度で支払った関税の還付を受けることができたという。このインボイスに原産地に関する申告文を記載するかたちで、現在までドイツでスムーズに通関できている。
日EU・EPA特恵関税の恩恵は販売促進に活用
EUの靴下の関税率は12%で、関税撤廃によるコスト削減効果は大きい。このメリットを享受するのはドイツの子会社だ。欧州市場には中国から類似の格安商品が大量に流通し始め、5本指靴下の認知は広がっているが、ドイツは「良質な製品にはそれに見合う対価を払ってもいい」と考える市場でもある。差別化のため、ピラティスやランニング用靴下としての機能性や、動物愛護などに配慮したウールの使用などを打ち出し、高級靴下としてのポジショニングを堅持する必要がある。欧州での販売戦略として価格は据え置き、関税撤廃によるコスト削減分は販路開拓やマーケティング活動の原資として、さらなる欧州市場の足場の拡張に振り向けるという。
(注)日EU・EPA上、日本語による申告文の作成は認められている。
(中村容子)
(ドイツ)
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