「アジア・アントレプレナーシップ・アワード2019」でロシアのスタートアップ3社がピッチ
(ロシア、日本)
欧州ロシアCIS課
2019年11月01日
「アジア・アントレプレナーシップ・アワード(AEA)2019」が10月30~11月1日、千葉県柏市の柏の葉オープンイノベーションラボと柏の葉カンファレンスセンターで開催された。10月31日には参加企業によるピッチ(プレゼンテーション)セッションが開催され、ロシアのスタートアップ企業3社が登壇した。
AEAは、アジアでのイノベーション創造に向けたエコシステムの構築を目的とするイベントで、今回で8回目。日本や中国、韓国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、インド、オーストラリア、ニュージーランド、ロシアの14カ国・地域から27社のスタートアップが参加した。期間中、日本のエコシステムに関する説明や関連施設ツアー、日本を含むアジアの起業家による講演、参加企業によるピッチコンテストが行われた。
ロシアからはワーデンマシナリー、ユニム、モトリカの3社が参加。ワーデンマシナリーは人工知能(AI)ベースの映像分析技術により人の行動を監視し、労働現場での人為的事故を防ぐシステムを開発(関連ブラック ジャック やり方)、ユニムはデジタル画像を用いた病理診断(デジタルパソロジー)を特にがん分野に注力して行う会社だ(2019年10月28日記事参照)。
ロシア企業3社のピッチのうち、最も多くの聴衆を集めていたのがモトリカだ。同社は2015年設立のスコルコボイノベーションセンター(モスクワ)の入居企業。従業員数は80人。義手にデジタル機能を搭載し、音声コマンドでの作業や決済を可能とするほか、スマートフォンやスマートウォッチと連動する技術を開発している。製品の強みは、デザインが良く日常のファッション・アクセサリーの一部として装着できること、リハビリテーションや仮想現実(VR)にも活用可能な点だ。同社は製品の販売開始からわずか3年だが、既に10カ国に展開して1,000人以上のユーザーを抱え、ロシア市場ではシェア20%を獲得している。中国とインドにも拠点を有しており、特にインドでは、現地の大学と提携しR&D拠点を設立する予定だ。投資受け入れにも旺盛で、これまでにロシア直接投資基金(RDIF)から「シリーズA」(顧客が増え始める成長段階)の投資を獲得したほか、2020年以降は「シリーズB」(経営が軌道に乗り、収益が伸びていく段階)の獲得を狙っていくようだ。
ピッチセッションの各参加企業の持ち時間は20分で、初めに10分以内でスタートアップがピッチを行い、その後、審査員3人による質疑応答が10分以内で行わるという形式。言語は英語で、審査員からは、全体のビジネスプランや技術の優位性、今後の展開などに関する鋭い質問が相次いだ。ピッチセッションの会場では、各参加企業を紹介するパネル展示も行われた。
(齋藤寛)
(ロシア、日本)
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