チリで続く反政府デモ、サンティアゴ旧市街から拡大
(チリ)
サンティアゴ発
2019年11月08日
チリで11月6日、中南米最大規模のショッピングモールであるコスタネラセンター前において反政府デモが行われた。デモに合わせて、コスタネラセンターを含む周辺施設はその日の営業を中止し、デモによる略奪や破壊行為に備えるため、店舗の入り口や周辺に木板や鉄板を張り巡らせて対策する様子が多く見られたが、銀行や薬局などの一部の小売店は襲撃を受けた。今回のデモでは、年金制度に対する不満を訴える声も大きく、民間の年金運用機関であるAFPのオフィスは特に著しく損傷した。これまでデモが頻発していたのは、バケダノ広場や大統領府が所在するサンティアゴの旧市街だったが、現在は日系企業の駐在員のオフィスや駐在員の住居が多数あり、比較的被害が少なかったサンティアゴ東部にまで、その直接的な影響が広がっている。
11月7日には、医療関係者によるデモ行進が、南北アメリカ大陸を管轄する国際保健機関である汎米保健機構(PAHO)に向けて行われた。デモは約200人規模で、市の中心地から北東へ延びる目抜き通りの1つであるビタクラ通りを通過し、医療従事者の賃金の低さや医療環境の劣悪さなどをPAHOに訴えた。ほかにも、トラック運転手による高速料金値上げに反対するデモの影響で、高速道路の一部封鎖なども行われており、沈静化の兆しはいまだ見られない。
(佐藤竣平、岡戸美澪)
(チリ)
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