約3年ぶりに金融機関への金利上限規制を撤廃
(ケニア)
ナイロビ発
2019年11月25日
ケニアのウフル・ケニヤッタ大統領は10月中旬以降、金融機関の上限金利の維持を含む財政法案への署名を拒否し、議会に法案の修正と上限金利の撤廃を求める趣意書を提出して国会議員による投票を求めていた。11月5日の投票日、出席議員数は161で、趣意書の取り下げに必要な総議席数の3分の2に当たる233議席に届かず、大統領の修正案が成立した。ケニヤッタ大統領が修正後の財政法に11月7日に署名して発効し、上限金利は撤廃され、既に銀行は独自の金利を設定している。2016年9月に導入された上限金利は約3年で撤廃された。
議会は2016年5月に民間銀行の金利について、公定歩合プラス4%を上限とする修正銀行法案を可決し、同年9月から施行された。これが金融機関の貸し渋りを招き、中でも中小零細企業は融資を受けられず経営難に陥るなど影響を受けた。ケニアの新車販売台数は、2015年の1万9,492台をピークに減少した(図参照)。ケニアの新車市場は約80%が商用車で、中小零細企業による購入の落ち込みが影響し、2017年には2015年に比べて45%減少した。
IMFはケニア政府に対し、上限金利の撤廃を度々提案しており、2018年にはスタンドバイ・クレジットの更新を取りやめるなどの措置を講じた。2019年には、IMFがケニア政府の説得に譲歩しているとの報道(「イーストアフリカン」紙電子版5月26日)があったものの、実際にスタンドバイ・クレジットの再開には至っていなかった。
上限金利が撤廃されると、金融機関の貸し付けや企業の購買活動が刺激され、日本企業の活動にも好影響を与える可能性が高い。今後の動向に注目が集まる。
(久保唯香)
(ケニア)
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