インダストリー4.0の導入、先行するのは半導体と医薬

(シンガポール)

シンガポール発

2019年11月07日

シンガポール経済開発庁(EDB)作成の「スマート産業対応指数(SIRI)製造業変革レポート(10月22日発表、注)」によると、同国の製造業におけるインダストリー4.0への取り組みを産業別でみると、半導体と医薬が最も先行していることが分かった。

EDBは2017年、インダストリー4.0の取り組みレベルを、製造工程やサプライチェーン、人材育成など16項目別に審査し、指数化するSIRIを、ドイツ認証機関テュフズード(TÜV SÜD)などの協力で導入した。今回発表したレポートは、2018~2019年にSIRIの審査対象となったシンガポールに拠点のある国内外の製造業200社のデータを用いて、12の主要製造産業のインダストリー4.0の導入レベルを分析したものだ。

政府は近年、国内製造業のインダストリー4.0化を推進しているが、今回の調査でその導入の水準が各産業、企業によって大きく異なることが明らかになった(添付資料参照)。同レポートによると、インダストリー4.0の取り組みが最も成熟している産業分野は、1位が半導体、2位が医薬品、3位がエネルギーだった。ただ、半導体産業内のSIRIの標準偏差は大きく、個別の企業によって、スマート化の取り組み水準が大きく異なることが分かった。一方、医薬品産業は標準偏差が小さく、各製薬会社のインダストリー4.0の取り組みがほぼ同じ水準で進行している。これは、同国に拠点を置く製薬会社が、政府と官民のバイオ医薬品製造業諮問委員会(BMAC)を組織して、業界全体でSIRIの導入に取り組んでいることの効果が大きいとみられている。12の主要製造業産業の中で、最もスマート化が遅れ、業界内の標準偏差が大きいのは食品・飲料だった。

EDB、SIRIの審査官研修プログラム開始へ

一方、EDBは10月22日、製造業の変革をさらに促進するため、SIRIの審査官の48日間の研修と認定プログラムの開始を発表した。同庁は、同研修プログラムを提供する機関の第1号として、テュフズードを認定した。

(注)スマート産業対応指数〔Smart Inustry Readiness Index(SIRI)〕と製造業変革レポートの詳細については、EDBのウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照。

(本田智津絵)

(シンガポール)

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