自動化のブラック ジャック アプリパーソン育成を期待、安川電機が現地大学にデモ機を寄贈
(ベトナム)
ホーチミン発
2019年10月09日
産業用ロボット・機械大手の安川電機(福岡県北九州市)は10月1日、ホーチミン市工科大学(注)と了解覚書(MOU)を締結し、同社のトータルオートメーションデモ機6台を寄贈した。同デモ機は、大学内に開設された「安川メカトロラボ(YASKAWA MECHATRO LAB)」に設置され、大学生はロボット、PLC(電力線通信)、HMI(Human Machine Interface)、モーションなどの製品のプログラミングを学習できるようになる。同社ベトナム現地法人の安川電機ベトナムは、新設予定の「ロボットコース」および「モーション制御コース」のトレーナーに対する研修を担う。
MOU調印式で、安川電機の熊谷(くまがえ)明執行役員は「提供するデモ機は、工場の生産現場を想定しており、詳細な情報を収集し、生産ラインにフィードバックするため生産性向上につながる。学生は自動化の学習機器を通じて技術レベルを向上し、ベトナムの生産現場の自動化推進のブラック ジャック アプリパーソンになってもらいたい」と期待を込めた。
安川電機ベトナムの田中毅社長は「人件費が安いといわれるベトナムでは、多くの生産工場は人手による生産に頼っている。ところが、カートンをトラックに詰め込むためのパレッティングのような重労働や単純労働は、徐々に敬遠されるようになっている。また、人件費上昇や外国企業およびローカル企業のビジネス増加により、人材確保は一層難しくなっている。自動化のニーズはある」と話す。自動化により、従業員を単純作業から付加価値が高い工程に従事させることが可能となる。
ベトナムは、国際ロボット連盟(IFR:International Federation of Robotics)が9月に発表した「世界ロボット年間統計(World Robotics 2019)」の「2018年の産業用ロボット主要15市場」に挙げられている。ジェトロの「2018年度アジア・オセアニア進出日系企業実態調査(10.1MB)」では、中長期的に活用を検討しているデジタル技術として、「ロボット」と回答した日系企業の割合はベトナムでは18.6%と、全体平均の15.1%を上回っており、今後の自動化に対するニーズが予測される。8月にハノイで開催された製造業展示会でも、生産ラインの自動化を検討する企業の動きがみられている(2019年8月27日記事参照)。
(注)ホーチミン市工科大学のコントロール・オートメーション・エンジニアリング部は、ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト(主催:アジア太平洋放送連合)で過去3回の優勝経験を持ち、ロボット制御の分野で優れている。安川電機ベトナムの営業部長は同大学出身。
(小林亜紀)
(ベトナム)
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