フッセンハイム原発、2020年6月30日で運用停止へ
(フランス)
パリ発
2019年10月11日
フランス電力(EDF)は9月30日、アルザス地方オー=ラン県のフッセンハイム原子力発電所の運転を2020年6月30日に停止すると発表した。同発電所にある2基の原子炉のうち、1基は2020年2月22日に、残りの1基が6月30日に停止され、フッセンハイム原子力発電所の運用が終了する。
同発電所閉鎖に関わる損失補償については、9月27日にEDFと政府が合意済み。政府は、廃炉や人員の配置転換など発電所閉鎖に関わる費用について、運用終了から4年間に約4億ユーロを支払う。これに加え、予定より早い運用終了に関わる逸失利益を、本来の運転期限である2041年までの期間を対象に補償する。
フッセンハイム原発は、1977年に運転を開始した。出力規模は1基当たり900メガワット(MW)。フッセンハイム原発の閉鎖による発電容量を補填(ほてん)するため、政府は2019年1月、地元オー=ラン県の太陽光発電300MW分を整備する目的で、入札を開始していた。このうち第1期となる60MW分について、エリザベット・ボルヌ連帯・エコロジー転換相は9月26日、合計で62.8MW相当の12のプロジェクトが決まったと発表した。落札されたプロジェクトの発電コストは、平均で1MW時当たり66.05ユーロになるという。また、2020年1月と7月に合わせて120MWの入札を開始するとした。
前オランド政権は、2015年8月発効のエネルギー転換法の中で、原子力発電設備容量に63.2ギガワット(GW)の上限を設定し、電源構成(エネルギーミックス)に占める原子力の割合を2025年までに50%に引き下げる目標を定めていた。これに対し、マクロン政権は2019年1月に公表した「複数年エネルギー計画」の中で、原発依存度を50%まで引き下げる目標の達成期限を2035年へ延期した。そして目標実現のため、原子炉14基を廃炉にすることを決め、そのうちフッセンハイム原発の2基を含む4~6基の原子炉を2028年までに廃炉にする方針を示していた。
なお、政府は縮原発を進める一方、上述の計画において、2018年に20%だった電源構成に占める再生可能エネルギーの割合を、2035年時点で45%まで段階的に引き上げるとしている。また、2028年時点での再生可能エネルギー導入量を、地上風力発電(34.1~35.6GW)、洋上風力発電(4.7GW~5.2GW)、太陽光発電(35.6~44.5GW)、水力発電(26.4~26.7GW)、バイオガス発電(0.34~0.41GW)、合計で102~113GWとする目標を掲げた。
(山崎あき)
(フランス)
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