大統領選挙、反体制派2人の決選投票は10月13日に実施の見通し

(チュニジア)

パリ発

2019年10月02日

チュニジア独立高等選挙委員会(ISIE)は9月17日、15日に行われた大統領選挙1次投票の結果を発表した。これまで政権を担ってきた既成政党からの候補者を大きく引き離し、無所属の法学者カイス・サイード氏(61歳)と、2019年に発足した新党カルブ・トゥネス党首で「メディア王」のナビル・カルウィ氏(56歳)が上位2位の得票となり、決選投票に進むことが決まった。一方、決選投票日の発表は保留されていた。その後28日、ISIEは決選投票を10月13日に行う考えを示した。ISIEのアニス・ジャルバウィ委員が言及したとして、チュニジア国営通信社TAPが報じた(9月28日)。

今回の選挙の投票率は45%と、前回2014年の大統領選挙1次投票の64%から大幅に低下した。得票率は、首位のサイード氏が18%、2位につけたカルウィ氏が16%だった。そのほか、イスラム穏健派アンナハダ党のアブデルファッタ・ムルー前国民議会議長が13%で3位、ユーセフ・シェーヘド首相は7%と振るわず、5位に甘んじる結果となった。

2015年以来、革新派のニダー・トゥネス党と保守・イスラム穏健派のアンナハダ党の連立政権体制が続いていたが、2019年初めのニダー・トゥネス党の分裂を経て、シェーヘド現首相を党首とするタハヤ・トゥネス党が誕生した。7月25日のベジ・カイド・エセブシ大統領の死去に伴い、11月に予定されていた大統領選挙は急きょ前倒しされ()、立候補者が26人という異例の選挙戦となった。革新派の分散化、保守・イスラム派の政党内の足並みの不ぞろいによる弱体化の一方で、2015年以降、国民生活の改善に具体的な対策を打ち出せない連立政権に対する、国民の不満が既成政党への拒否につながり、既成政党からの支持がない反体制派の2人が1次投票で選ばれる結果となったとみられる。

サイード氏は政治の透明化と実質的な地方分権化を訴え、主に若年層から高い支持を得た。一方、カルウィ氏は高齢層や低所得者層を中心に支持を集めた。同氏は脱税とマネーロンダリングの疑いで2017年から取り調べを受け、2019年8月に逮捕された。釈放を要求しているものの、いまだ収監されている状況だ。

10月6日に予定される国民議会選挙は既に公布されおり、9月14日に選挙戦が開始された。大統領選挙の予想外の結果を受けて、国民議会選挙の結果も予想困難な状況だ。

(渡辺智子)

(チュニジア)

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