EU、ノー・ディールに伴う緊急雇用・起業支援を表明

(EU、英国)

ブリュッセル発

2019年10月03日

欧州理事会の補佐機関である常駐代表委員会(COREPER)は10月2日、英国がEUとの合意のない状態(ノー・ディール)での離脱に伴う経済的混乱の結果、EUの労働者や自営業者が失業・廃業に追い込まれた場合、その再雇用や起業を支援する緊急措置案を承認外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

欧州グローバル化調整基金の対象を拡大

今回の緊急措置案は、世界的な不況や金融危機の結果、企業が撤退(EU域外に移転)、操業停止した場合などに、失業者を支援するための「欧州グローバル化調整基金(EGF)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(注)の対象を拡大し、ノー・ディール時にも失業者の再雇用や廃業に追い込まれた自営業者の起業などを支援することを想定している。EGFを運用するためのグローバル化の基準拡大を図り、例えばノー・ディールの結果、特定分野において雇用見直しやEU域内への輸入急増もしくは域内市場の縮小などが発生したケースを支援対象に加えるとする。

ノー・ディールの場合、EU法の英国に対する適用が停止した翌日から、今回の緊急措置は発動する見通しだが、離脱協定案がEU・英国で結ばれた場合には発動しない、としている。

(注)年間予算上限:1億5,000万ユーロ。2年を上限に、失業者の再雇用・起業を支援するプロジェクトとして、国、地方レベルの当局が運用を行う。現時点で、EGFは2014~2020年の期間限定での運用を前提としているが、欧州委員会は2018年5月に、2021年以降の運用継続を提案している。

(前田篤穂)

(EU、英国)

ビジネス短信 b8b6957e7d1f5cf1