チューリンゲン州議会選挙、CDUが大敗し極右は躍進
(ドイツ)
ベルリン発
2019年10月29日
旧東ドイツのチューリンゲン州で10月27日、州議会選挙が行われ、28日午前8時16分時点の推計値によると、中道右派のキリスト教民主同盟(CDU)が第1党から第3党に転落する一方、極右のドイツのための選択肢(AfD)が第2党に躍進した。投票率は64.9%と2014年の前回選挙の52.7%を大きく上回った。11月7日に選挙結果が確定する。
得票率を政党別にみると、与党3党のうち、左派党(Linke)は31.0%と前回より2.8ポイント増、中道左派の社会民主党(SPD)は4.2ポイント減の8.2%、緑の党(Gruene)は0.5ポイント減の5.2%と伸び悩み、3党による過半数を獲得できなかった。CDUは前回比11.7ポイント減の21.8%と大幅に減少、与党ではないが東西ドイツ統一以降維持してきた第1党の座を失う大敗を喫した。他方で、AfDは12.8ポイント増となる23.4%を得票して第2党に躍り出た。自由民主党(FDP)は2.5ポイント増の5.0%で、旧東ドイツで10年ぶりとなる議席獲得(総議席90のうち5議席)が見込まれる。
先のブランデンブルク州とザクセン州に続き、旧東ドイツ地域でメルケル首相率いるCDUの求心力の低下は顕著だ(関連ブラック ジャック ブラック)。
過半数を確保しての連立政権の形成は困難な様相を呈している。FDPは与党3党への合流の意思がなく、CDUは選挙前には左派党およびAfDとの連携はしないと表明していたが、今回の選挙結果を受け、左派党との協議を拒否しないよう求める声も上がっている。ボド・ラメロウ州首相(左派党)は1つの選択肢として、左派党、SPD、緑の党による3党連立の少数与党政権としての継続もあり得るとしている。チューリンゲン州では新政権樹立期限が設定されていないが、連立形成の議論の動向が注目される。
(ヴェンケ・リンダート、中村容子)
(ドイツ)
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