ベルギー食品業界で循環型経済に向けて連携進む
(ベルギー)
ブリュッセル発
2019年10月17日
ビール醸造世界最大手のアンハイザー・ブッシュ・インベブ(以下、ABインベブ)は10月8日、ベルギーの環境に優しいとされる洗剤メーカーのエコベール(Ecover)と、食器用洗剤の製造で協力すると発表した。ABインベブが生産するノンアルコール・ビール醸造時に発生するアルコール廃液を、エコベールが限定版として生産する食器用洗剤「Too Good to Waste(捨てるには良すぎる、もったいない)」の原料に使用する。
ABインベブは、ノンアルコール・ビールの市場規模が限られていたころには、アルコール廃液を分解してから廃棄していた。しかし、昨今の市場の拡大に伴うアルコール廃液の増加を受けて、環境に優しい野心的な利用法の開発に取り組んでいる。同社は2月、ベルギーのバイオ燃料製造大手アルコグループに対し、2月から6月にかけてアルコール廃液を販売し、同グループは総量100万リットルのアルコール廃液をバイオ燃料に変換すると発表。アルコール廃液を高品質の副産物にするという課題に挑戦するとして、持続可能かつ再生可能な循環型経済への移行に向けた意気込みを示していた。
廃棄食品が新たな食品の原材料に
ベルギーの食品業界では、このほかにも循環型経済を目的とする企業の協力が行われている。例えば、新進のビール醸造企業ブラッセルズビアプロジェクトは老舗菓子メーカーのメゾン・ダンドワと協力。ブラッセルズビアプロジェクトは割れなどが原因で製造時に廃棄されるメゾン・ダンドワのスペキュロス(ベルギー伝統のスパイス入りクッキー)を原料としたビールを、またメゾン・ダンドワはビールの製造時に発生する麦の搾りかすを原料とするビスケットを製造。ビールとビスケットはともに、「タフ・クッキー(Tough Cookie)」の商品名で10月に発売された。なお、ブラッセルズビアプロジェクトは2015年から小売り大手デレーズと協力し、売れ残ったパンを原料とするビール「バビロン(Babylone)」も製造している。
(村岡有)
(ベルギー)
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