燃料補助金廃止に対する抗議活動の激化で首都一時移転、原油生産に打撃も
(エクアドル)
ボゴタ発
2019年10月16日
エクアドルで、レニン・モレノ政権の財政緊縮策に対する抗議活動が一時、激化した。モレノ大統領が10月1日に燃料補助金を廃止する大統領令第883号を発令し、3日に施行されて以降、運送業界の労働組合が全国でストライキやデモを実施した。一部のデモ参加者が暴徒化し、道路封鎖や放火、機動隊との衝突が発生したため、モレノ大統領は同日付で60日間の非常事態宣言を発令した。7日には、政府機能を第2の都市グアヤキルに一時移転した。抗議活動は大学生や先住民組織にも広がり、大規模なものとなった。
ストライキやデモの影響は、原油生産にも打撃を与えている。炭化水素規制庁の統計をみると、1日に53万7,606バレルだった生産量は、9日に22万3,214バレルと、半分以上も減少している。エネルギー・非再生可能天然資源省によると、8日間の損失額は2,800万ドルに上る。
こうした事態を受け、モレノ大統領は10月14日に大統領令第894号を発令し、同第883号の撤回を表明した。15日午前0時から、ガソリンスタンドなどでの燃料費は補助金が廃止される以前の価格に戻っている。10月14日付「エル・ディアリオ」紙によると、抗議のために首都キトに移動していた先住民たちも、徐々に地元へと帰り始めており、キトの町も平穏を取り戻しつつあるが、デモで発生したがれきやごみのため、バスなどの公共交通機関の運行に支障が出ている状況だ。
(茗荷谷奏)
(エクアドル)
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