2020年度政府予算法案、新車購入の環境課徴金増額を盛り込む
(フランス)
パリ発
2019年10月10日
フランス政府は、2020年度(暦年)政府予算法案に、新車購入に関わる環境課徴金の大幅増額を盛り込んだ。現行制度では、1キロ走行当たりの二酸化炭素(CO2)排出量が117グラム以上の乗用車の購入に、35ユーロから最高で1万500ユーロの課徴金を課している。同法案は、2020年1月から課徴金の対象となる乗用車のCO2排出量を110グラム/キロに引き下げるほか、課徴金の最低額を50ユーロに、また最高額を1万2,500ユーロに増額するとしている。例えば、CO2排出量が140グラム/キロの新車を購入した場合、課徴金は現行の690ユーロから1,901ユーロに膨らむ(添付資料参照)。
同法案はまた、2020年6月から課徴金の算定基準となるCO2排出量を乗用車などの国際調和排出ガス・燃費試験法(Worldwide Harmonized Light Vehicles Test Procedure:WLTP)を使った測定値に切り替えるとしている。WLTP基準で測定したCO2排出量が、従来のEU独自の排出ガス・燃料の試験方法(New European Driving Cycle:NEDC)を使った測定値に比べ平均で24.8%高いことに配慮し、2020年6月以降、課徴金の対象となる乗用車のCO2排出量を138グラム/キロ以上に引き上げる。
さらに、政府は2020年度政府予算法案の中で、電気自動車(EV)の普及促進に向け、環境報奨金などのEV購入支援措置に充てる予算を、2019年比で50%増やす方針を示した。課徴金を引き上げ、低公害車およびEVの販売を後押しすることで、EUの乗用車CO2排出量の新規制に対応するのが狙い。2020年1月から適用される同規則は、新車乗用車の平均CO2排出量規制値を95グラム/キロと定めていが、フランス自動車工業会の資料によれば、フランスの新車乗用車の平均CO2排出量は2019年9月時点で109.6グラム/キロと、EUの規制値を大きく上回る。
政府は現在、EVの購入支援として、環境報奨金や補助金を支給する制度を導入している(関連ブラック ジャック 無料)。2018年に続き、EVの販売は2019年も順調に増加している。フランス自動車工業会の上述の資料によると、2019年1~9月のEV新車登録台数(乗用車のみ)は前年同期比50.2%増の3万378台で、乗用車新車登録台数全体に占める割合も前年同期の1.2%から1.9%に拡大した。
(山崎あき)
(フランス)
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