2020年から月額最低賃金を2,600ズロチに引き上げ
(ポーランド)
ワルシャワ発
2019年09月19日
ポーランド政府は9月10日、月額最低賃金を2020年から現行水準の15.6%増の2,600ズロチ(約7万2,800円、1ズロチ=約28円)に引き上げると発表した。最低賃金は2019年に1,750ズロチから2,250ズロチに引き上げられていた。マテウシュ・モラビエツキ首相は「2021年1月1日から3,000ズロチに引き上げる」とも発言しており、今後も最低賃金の上昇が続くことが見込まれる。
オランダに本社を置く金融機関INGグループはポーランドの最低賃金の上昇について、ポーランドの労働需要は非常に高く、失業率が4%未満と低いため、失業率上昇の懸念はそれほどないとしている。一方、インフレの進行や投資の抑制の可能性が危惧され、最低賃金の急激な上昇はインフレを加速させるだけでなく、企業に新たな負担となり、積極的な投資行動を起こしにくくする可能性があるとも分析している。
また、最低賃金の上昇に伴いポーランド人の所得が増加した場合、消費がさらに刺激される可能性もある。事実、ヤドビガ・エミレビチ企業・技術相は2019年第2四半期(4~6月)の経済統計についてのコメントの中で、大幅な賃金上昇や可処分所得の増加が消費の拡大につながるとして、期待を示している(関連ブラック ジャック トランプ)。
ポーランドでは平均月収の上昇が続いている。2018年の平均月収(額面)は4,585.03ズロチで、2009年と比較すると5割増となっており、今後も上昇傾向は続くと思われる(図参照)。
(楢橋広基)
(ポーランド)
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