ペトロブラス、SU企業とのオープンイノベーション案件の公募開始
(ブラジル)
サンパウロ発
2019年09月06日
ブラジル国営石油会社ペトロブラスは9月4日、スタートアップ(SU)企業などイノベーション技術を保有する中小零細企業を対象に、同社が抱える研究開発課題を解決するプロジェクトの公募を開始した。
今回の取り組みはペトロブラスとして初めて実施するもので、ブラジル零細・小企業支援サービス(SEBRAE)と共同で公募を行った。申し込みと問い合わせはSEBRAEのウェブサイトに直接を行う仕組みになっている。募集は9月22日まで。応募資格者はスタートアップ企業、国立経済社会開発銀行(BNDES)が定義する中小零細企業が対象となる。
採択予定の案件数は最大10件で、採択案件に対しては、国家石油・天然ガス・バイオ燃料庁(ANAP)が1,000万レアル(約2億6,000万円、1レアル=約26円)投資する。1件当たりの投資額は50万~150万レアル。採択企業のプロジェクト開発期間は最大2年間だ。
対象となる分野は、(1)デジタル技術〔ロボット、人工知能(AI)、センサー〕、(2)さび・腐食防止修復などの管理、(3)CO2獲得・活用、(4)ナノテクノロジー、(5)触媒、(6)新エネルギーの6分野となる。
ペトロブラスは世界でも有数の石油プラットフォームを運用して海底から石油や天然ガスを掘削・生産している。ただ、これらに関するデジタル技術の活用は十分に進んでいない。例えば、デジタル技術やロボットを活用し、石油プラットフォームで使用する輸送用タンクの準備と清掃活動に使用する人員数と労働時間の削減を課題としており、解決策として、自動もしくは遠隔操作による車両、システム、ツールを使って固形廃棄物の除去や輸送の向上を期待している。今回の公募では、デジタル技術だけでも6件の研究開発課題が提示されている。
ブラジルのスタートアップ企業は近年急速にその数を増やしており、ブラジルスタートアップ協会(ABSTARTUP)によると、9月4日現在の協会登録企業数は1万2,709社となっている。スイスの調査会社スタートアップブリンク(StartupBlink)が発表している2019年スタートアップエコシステムランキングによると、世界100カ国1,000都市中、サンパウロ市のランキングは前回2017年より8位ランクを上げて23位となり、32位のシンガポール、28位の香港、30位のソウルを上回っている。
(大久保敦)
(ブラジル)
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