農業振興規則法を2031年まで延長、待遇改善、林業と養殖業にも適用

(ペルー)

リマ発

2019年09月30日

ペルー議会は9月19日、2000年に公布された「農業振興規則法」(法律27360号)に定められている恩典の適用期間を現行の2021年12月31日までから10年延長し、2031年12月31日までとする改正案を可決した。農業灌漑省(MINAGRI)のファビオラ・ムニョス・ドデーロ大臣は、今回の改正により農業従事者の待遇が改善され、小規模農家にも組織化していくことで恩恵が及ぶと強調した。

農業振興規則法はフジモリ元大統領の政権下で施行され、農業分野の活性化を目的としている。最大の恩典は、通常29.5%の法人税に対して農業分野には15%が適用されること、雇用面でも種まき期や収穫期などに短期雇用形態での雇用を可能とした点にある。今回の改正案では、適用期間の延長のほか、(1)1日当たり平均4時間以上の労働の場合の最低日給を16ソル(約512円、1ソル=約32円)から39.19ソルに値上げし、月給では法定最低賃金の930ソルを下回らないことを規定、(2)賞与(基本給の16.66%)、勤労時間補償(CTS)(基本給の9.72%)について規定、(3)有給休暇日数を15日から30日に増加(1年以上就業や、それ以下の場合は就業日数に応じて計算)、(4)解雇手当について、15日から最大180日分の日給相当であったものを、45日から最大360日分に増額(就業日数に応じて計算)、(5)被雇用者向け保険(EssSalud)の雇用主負担割合を4%から6%に改定など、より労働者側の待遇を改善した点が目立つ。

また、この制度を林業や養殖業にも適用することも含まれている。特にペルーの養殖業は、生産省(PRODUCE)によると、2018年の総生産量は前年比3.1%増の10万3,600トンで、金額にすると10億9,000万ソル相当だった。主な品目は、マス(総養殖品種の53.1%)、エビ(28.7%)、イタヤ貝(12.0%)が占めており、2019年はイタヤ貝(前年比15.0%増)エビ(7.2%増)の増産が見込まれている。

ペルー貿易協会(Comex)のアルフォンソ・ブスタマンテ会長は、今回改定により今後10年先の見通しがつき、農業分野に対する大きな投資インセンティブとなるだろうとコメントしている。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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