デジタルヘルス企業が6,000万ドル調達、スマホで尿検査を可能に
(イスラエル)
テルアビブ発
2019年09月30日
スマートフォンのカメラを臨床に利用可能な医療機器デバイスに変えるイスラエルのデジタルヘルス企業、ヘルシードットアイオー(healthy.io)は9月12日、6,000万ドルのシリーズCラウンドを完了したと発表した。出資したのは、コーナー・ベンチャーズ(Corner Ventures:米国)を筆頭に、既存出資者のジョイ・キャピタル(Joy Capital:中国)、アンソニア・ホールディングス(Ansonia Holdings:シンガポール)、イスラエルのベンチャーキャピタル2社だった。
ヘルシードットアイオーは調達した資金により、無料 カジノ ゲーム市場の開拓と製品開発を推進する予定。イスラエルで技術開発を行い、米国と欧州で市場開拓を図るという、イスラエルのスタートアップが進める典型的な事業戦略だ。
同社はまた、慢性腎疾患の検査に使用する「尿アルブミン/クレアチニン比(ACR)検査デバイスキット」が米国食品医薬品局(FDA)からクラスII医療機器として市販前認可〔510(k)〕認証を取得したことを発表した。FDAの認証は、同社のデバイスで行った結果が検査機関での結果と実質的に同等であることを示すため、医療従事者が診療現場で使用可能となる。これにより、薬局・緊急医療センターやクリニックなどは、高額なテーブルトップ型検査機器を導入しなくとも検査ができるようになった。
ヘルシードットアイオーが開発したACR検査デバイスキットは、採取した尿に2つのパラメーターが付いた試験紙を浸し、尿に含まれる成分に反応するパラメーターの色変化をスマートフォンのカメラで色見本と一緒に撮影してクラウドシステムに送信し、人工知能(AI)と機械学習により、試験紙と色見本の比色分析を行って検査結果を得る仕組み。従来、ACR検査は病院で行って結果が出るまで数日を要していたが、自宅で簡単に行えることで、患者の負担を大幅に減らすことが可能となる。
(荏原昌)
(イスラエル)
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